ドリル少女スパイラルなみ
恐らくこのゲームを見た時、大方の人はこう思うだろう。
「何だこれは」
俺もそう思った。そして買ってしまった。そしてそして、非常に面白いのである。
名前に釣り合うだけの頭の悪い(誉めている)内容を、このゲームはしっかりと持っているのである。
このゲームはシュミレーション+18禁の王道のようなゲームである。
主人公はドールと呼ばれるロボット(某メイドロボのようなものだ)の可愛さに一目惚れし、早速買いにいったが金が足りずに負け犬ムードで引き上げることになる。
トボトボ歩く帰り道、ジャンク屋で片腕の無いドールを発見した主人公はそれを購入した。
無かった片腕の部分には、ジャンク屋の女主人の趣味で「ドリル」がついていた。
これが「スパイラル・なみ」との出会いである。
この導入部分だけでも分かる通りで、実に頭が悪い。
昨今の感動系ゲームに対するスーパー・アンチテーゼと言ってもいい。
深い設定は全く無し。
あるのは頭が悪いストーリーの流れのみ。
主人公はこれでもかといわんばかりに馬鹿でスケベ。
最終目的はなみの本当の腕を買って付けてやることだが、はっきり言ってそんな目的なんかどうでも良い。
エッチしてエッチして、エッチしまくるだけ。
相手が人間じゃないとあって、やりたい放題好き放題。
鬼畜というのとは違うが、兎にも角にも暇さえあればエッチしていれば良い訳だ。
これこそまさにエロゲー!
余計な物語なんか持たせず、ひたすらエンターテイメントに重点を置いたところが秀逸だ。
ゲームとしても簡単で、戦闘システムをこなしていれば自然とクリアに向かって進んでいく。
これといったフラグメントも無く、こなさなければならないイベントも無い。
だが、ひたすらに面白い。
何故なら、完全に娯楽性のみを重視したシステムが実に良いバランスで組み立てられているからである。
昨今のエロゲーを見ていて思うのだが、どんなものでもとにかくストーリー最優先。
これはまあ当たり前のことだ。
問題はその次。
その次に来るのが「ハイ、感動してください」というイベント。
この人にはこんな過去があって、こんな苦しんでるんです、可哀想でしょ? だからあなたの「優しさ」で彼女を「慰めてあげて」下さいね。ハイ、感動的ですよね?
悪いがこんなもので感動できるほど素直な感性なんか、俺は持っちゃいない。
「痕」の時にも書いたが、ヴィジュアルノベルなら別だが、通常のアドヴェンチャーなどでこの「感動系」という奴を見せられると正直ウンザリである。
大体、感動したくてゲームを買ってる訳じゃない。
俺はエッチシーンが見たくてエロゲーをやっているんだ、それ以外の目的なんか無い。
話の展開に無理があったっていいしギャグ満載でも構わない、何でも良いからエッチシーンが見たいのだ。
良く出来たシナリオで感動させてくれるならまだ辛うじて我慢してやっても良いが(結構我慢できないのが多い)、ありきたりの話をありきたりな音楽であざとく演出している感動系のゲームなど吐き気がするだけだ。
ユーザーの定義を間違っているとしか思えない。
そんなにストーリーのみを読ませたければヴィジュアルノベルにすれば良いし、エッチシーンに何の必然性も無いなら最初から18禁で創らなければ良い。
それが最近の流行りにつられてホイホイ感動的要素を詰め込むなんざ、はっきり言ってゲームクリエイターの矜持も地に落ちた証拠であろう。
エヴォルーションにはそういう幻想は一片も無い。
「萌え」「マニアック」、こういった真のエロゲーユーザーに対応した要素だけを詰め込んだ、一見するとおかしなメーカーである。
だが、メーカーとしてどちらが良質だろうか?
「売れる」「ウケる」というゲームを作るメーカーはそんなに偉いのか?
どちらが「18禁」というジャンルを良く理解しているだろうか?
元々エロゲーとは、エロシーンにのみ重点が置かれたものだった。
ユーザーはそれを見るために、躍起になってゲームを進行させていくのだ。
誰も「感動したい」と思ってゲームを買っちゃいなかった。
それが「真のエロゲー」の姿なのだ。
敢えてはっきり言おう。
感動なんかエロゲーには必要無い!
エヴォルーションのゲームには、エロと萌えがある。
頭が悪くとも構わない、そこには確かにリビドーを直撃する「エロ」があるのだから。
本当の意味でのエロゲーを、誇りを持って提供するメーカー、それがエヴォルーションだ。
彼らが放った最大のマニアックゲーム、それが「ドリル少女スパイラルなみ」なのである。
追記:はっきり言って感動系ゲームが嫌いな俺だが、全部を全部否定する訳ではないことはお断りしておく。
「愛姉妹」の頁でも書いたことだが、良く練られたゲームシナリオであれば、必ずしも批判の対象とはしないのである。