第7回
建物から出ると、例のじじいが俺を待っていた。
「このじじい!ふざけやがって!」
俺は叫びつつ、じじいの頭を殴りつけた。
ぽかっ!
「あいた!何をするか!」
じじいは俺を睨みつける。
「ばかやろう、あのふざけた褒め言葉はなんだ!?何が「ぶらぼー!」だ!なめやがって!」
俺が言うと、じじいは暫らくの間俺をまじまじと眺めていたが、やがて、
「たわけ。」
というなり、持っていた杖で、俺の頭を一撃した。
「イッテー!このじじい!」
殴りかかろうとする俺の前に、じじいの杖が突き出された。俺は反射的に、その場で硬直する。
「愚か者め。お主がクリアしたのは、奥深きギター道の、ほんの入り口に過ぎぬ。本来ならば、その程度の賛辞も勿体無いくらいじゃ。」
「ぬ・・・。」
確かに。
流石に、あの程度の事がクリアできたからといって、俺も「ギターを極めた」などと自惚れるつもりはない。
悔しいが、じじいの言葉の方に理がありそうだ。
「よいか。ギターの道に終わりはない。たとえどんなに上達したとしても、それでやっと麓を踏んだばかりよ。現にこれを書いている筆者自体が、漸く中級者になったかどうか、というところなのじゃ。」
い、いいのか、それで、こんな講座を開いちまって。
「まあ、細かい事は気にするな。それよりも、よくぞ第一段階を突破したな。何はともあれ、その調子で次の高みを目指すがよい。ほっほっほ・・・。」
そう言って、じいさんは去った。
「・・・さて、俺もがんばるか。」
俺は大きく伸びをすると、次の関門をクリアする為の訓練場に向かった。
いつか、ギターの達人と呼ばれる事を夢見て・・・。