グリーングリーン
俺としては、このゲームは2001年度各種(コンシューマー・業務用含め)ゲーム最優秀グランプリ確定である。
のみならず過去3年間に出たゲーム(勿論エロゲー以外も含めて)の中でも最高傑作であり、これまでにやったエロゲーの中でも上位5本にノミネートできる傑作である。
向こうでも書いた通り、粗い点は幾つもある。
しかし、そんな細かな事を全部吹き飛ばすパワーが迸るこのゲーム、痛快作だと言っていい。
で、今月(‘02年2月)は個人的に「グリグリ強化月間」としたので、ここでも書いておくことにする。
さて、「エロゲー簡易レビュー」のほうで散々褒めちぎった訳だし、どんなゲームかも書いた訳だから、こちらではちょっと辛口で、不満な点を中心に書いていきたいと思う。
とはいえ、これも「愛」の為せる業ってところかもな。
まずこのゲームの最大の欠点から。
このゲームがアドヴェンチャーである事は既に述べた訳だが、移動先と、そこにいるヒロインは常に明示されている訳なので攻略は実に楽だ。
だが、それが不満なのではない。
このゲームの欠点は、つまり「大イベント」さえこなしておけば「小イベント」は無視できるという所である。
つまり、極端に言ってしまえば「大イベント」のみを間違えずにクリアしていけば、それでエンディングに到達できるという訳である。
ゲームの期間は一月に満たない訳だから、「大イベント」の配置自体がそんなに多くはない。
つまり、プレイヤーの立場で言えば、「あれ? そんなに仲良くなったんか?」という感覚でもクリアできる訳だ。
俺はそういったプレイの仕方はしない主義(ヒロイン一点集中波紋パワー主義)なので、そういう違和感は感じた事はない。
しかし、これが俺の勝手な妄想や心配でない事は、結構色々なサイトが指摘している事でもわかる。
要するに俺としては何が言いたいかと言うと、「小イベント」をこなす事によって得られるものが何もない、というのが問題ではないかという事である。
実際「小イベント」をこなしていく過程で、クリアに影響の出る物は殆どない。
ここは、好感度ポイントなどを設定してみると改善できる点なのではないだろうか。
で、誤解の無いように書いておく。
この小イベント、会話のやり取りが滅茶苦茶に面白い。
これを楽しむ事が出来てこその、このゲームの醍醐味である。
次の不満点。
とにかく「誤字」が多い。
いくらなんでも「嘘突き」は無いだろうと思う(正解は「嘘吐き」である)。
まあ、本心を言えばこの程度の事は笑って済ませられるのだが、いくらなんでもちょっと多いんじゃないか。
誤字を指摘して点数を下げるなんてのはブチャラティ国語の教師の仕事なので、俺はどうでもいいのだが、指摘しておくに越した事はないだろう。
個人サイトレベルならともかく、商品なのだからもうちょっと注意が必要かもしれない。
更に。
殆ど無いんだけど、前言を翻すような台詞やモノローグが、ホンのちょこっとだけある。
これは正直、プレイしていると興ざめするので、是非改善して欲しい点である。
で、今度は各ヒロインシナリオごとに語ってみる。
ここから先はネタバレは基本、分からない人は置いてきぼりにするのでそのつもりで(笑)。
まずはみどりシナリオ。
もう全体の流れは何も文句は無いし、凄く良い話だったが、一点だけ。
みどりの「世間ズレ」が何時の間にか消えちゃってる点がちょっと不満である。
最初の頃はあからさまに「変」であったみどりが、後半にはその片鱗すら無くなっている。
徐々に彼女の正体が明かされていっているからだとも言えるが、それにしてもこれはちょっとばかり違和感があると思う。
と言うか、「性格が変」なのか「環境の違いが原因で変」なのかが判然としない訳である。
前半のみどりを見る限り、彼女は天然であり、「性格が変」というイメージが強いのだが、後半での彼女にはそれは無い。
主人公からの視点で見ている以上、ここはもうちょっと練り込まれていて欲しかったような気がする。
次は双葉シナリオ。
レビューのほうでも書いたけど、若葉との絡みがもっと欲しいと個人的には思っていたりする。
とはいえ、全体の流れにはほぼ文句は無いんだけど。
主人公に彼女が惚れちゃう切っ掛けが弱いような気もするが、実際あの程度で惚れちゃう人もいるようだから、説得力がない訳ではない。
そうなると、やっぱり要所要所での若葉との絡みを演出して欲しかった。
と言うのも、そうでないと次に書く若葉シナリオでの不満点が解消できないと思うからである。
で、若葉シナリオでの不満点とは何かというと、これはもう「双葉の冷たさ」である。
他のシナリオでは双葉・若葉姉妹は「仲が良い姉妹」という印象があるのだが、このシナリオに限りそれがない。
まさに「使用人と主人」の関係である。
それは勿論、彼女たちの正しい関係のあり方でもある訳だが、それにしてもこのシナリオでは双葉は随分と冷たく感じられる。
まあ、このシナリオではそれでこそ「主人公の優しさ」という部分がクローズアップされるからよしとしよう。
しかし、双葉シナリオでは若葉の存在感が低かったため、やはり若葉は双葉に「隷属」しているという印象が拭えない訳である。
双葉の性格から考えて、これは正解ではあるまい。
やはり双葉としては、若葉を便利に使いつつも、本当の妹のような存在として捉えていた部分がある筈であろう。
その部分を強調するためにも、双葉シナリオでの若葉の存在感をアピールして欲しかった訳である。
しかしながら、全体の話の流れは、ゲーム中最高であった。
28日の校庭でのシーンから、保健室での別れに至るまでの流れは、まさにエロゲー史上に残る屈指の名シーンであると断言する。
因みに、「簡易レビュー」のほうでは「EDは『男の子』が一番」と書いていたが、今現在はこのEDテーマの「フルール」が一番だと思っている。
無論、音楽に五月蝿い俺はシナリオやキャラと切り離して評価しているのだが。
涙が滂沱の如く流れるような物ではなく、いつまでも余韻に浸れるような、そんな深い感動がある話である。
続いて早苗シナリオ。
これが「痛い」シナリオであるとは既に書いた通りだが、その痛さが残念ながら中途半端であった。
というのも、後半からの展開が怒涛の如く急であって、俺はついて行けなかったからである。
前半から「体が弱い」という話は聞いていた物の、そこでストップしてしまっているため、伏線ナシで彼女が死んでしまったように見えた訳である。
後半、穴に落ちた時の会話で始めて彼女の「死」の可能性が語られる訳だが、これ以前にもっと丁寧な形で伏線が欲しかった。
大雑把に「体が弱い」という形だけでなく、もっと重要な疑問点のような形で何かが提示されていれば、急転直下の展開とは感じなかっただろうと思う。
俺的には、早苗が死ぬ事は受け入れている。
しかし、レビューでも書いた通り、最後のシーンの描写をもうちょっと丁寧にして欲しかったのと、もっと前から彼女の「死」の可能性を匂わせておいて欲しかったと思う次第である。
で、トリは千種先生。
と言っても、話の流れも設定も何もかも文句がないと言って良い。
唯一の不満は、「簡易レビュー」のほうでも書いたが、エッチシーンだけ。
極端な話、恋愛慣れしていない彼女を描くんだったら、初めてにしてしまっても良かったと思う。
ちょいとばかりエロに力を入れすぎたような気もするが、まあエロゲーなんだから良いか。
因みに、EDテーマの「男の子」はやっぱり良い曲だ。
とまあ、気がついたらヤタラ熱くなって語っていたが、それくらい俺はこのゲームが気に入っている訳だ。
鬼畜以外でここまでのめり込めるゲームというのは、俺としては非常に珍しい。
機会があったら一度やってみると良い。
そんじょそこらの感動系ゲームなんて、何十本集まっても太刀打ちできない面白さがあるから。