デビルサマナー・ソウルハッカーズ


この頁、あまりにも「18禁」が多いので、たまには全年齢に言及してみようと思う。

つまるところ、ゲームの面白さの中で最も重要視するものが「自由度」という俺にとって、メガテン系のゲームの完成度は特別なものだ。
無制限過ぎず、それでいていくつもの楽しみ方が出来る。
このスタンスを極限まで押し広げ、シリーズ歴代で「高い」と言われていた難易度を大幅に改善し、非常に当たりやすく改良されたのがこの「ハッカーズ」だったのである。

このゲームではグラフィックの秀逸さも特筆である。
オープニングムービーにおける劇的な演出などは、歴史に残る素晴らしさだと言っても過言ではあるまい。
今までのメガテンからの脱却を図った部分と、良い部分を残していこうとした部分とが非常に高いレベルでバランスされており、このゲームにかける意気込みが伺える。

このゲームが世に出たのが1997年、ネットワークの拡充が叫ばれ始めた最初期の頃であり、このゲームではその「ネット犯罪」をテーマとしたストーリーが展開される。
メガテンの特徴とも言える「壮大な設定」をなるべく排除し、狭い世界を舞台にした「戦い」をテーマにしているところは、このゲームの前作に当たる「デビルサマナー」を忠実に引き継いでいると言えるだろう。
ネットワークを利用した魂の収集。
見え隠れする巨大な犯罪組織。
暗躍する謎の一族。
こういったハードボイルド的な要素をちりばめつつ、小さな力しかない個人が結束する事により、大きな力を持って対抗していく事が出来るという主題をしっかりと押さえる。
ストーリーを追っていくことは難しくない。
このゲームの魅力は、その手段としての「戦い」に、「人にあらざるもの」を使う所にあるのだ。

メガテンの最大の魅力は、何と言っても「悪魔」に対する主人公のスタンスである。
「悪魔を追い払うのは悪魔の力しかない」というイギリスの言葉があるが、このシリーズはこのスタンスを最大限に生かしたゲームシステムを取っている。
悪魔召還システムである。
また、悪魔を単純に「敵」とせずに、「会話」というシステムを大胆に導入する事により、交渉次第でその悪魔の力を自分のものに出来るというシステムを取ったのも見事である。
更に、ユーザーを熱狂させたシステムがある。
これこそがメガテンシリーズを傑作中の傑作たらしめているものだ。
それが「ミキシング」、つまり「悪魔合体」のシステムである。

通常登場する悪魔の力はそれほど高いものではない。
だから、主人公はより力の強い悪魔を、自らの手で生み出していかねばならないのだ。
その手段として取られたシステムこそが「悪魔合体」である。
「会話」による交渉で仲間にした悪魔たちを掛け合わせていく事により、より強大な悪魔を生み出す事が出来るのだ。
ゲームにおいては、この合体システムによらない限りは生み出せない悪魔も存在しており、ユーザー達が虜となったのもこの点にあると言って過言ではない。

特にこの「ハッカーズ」において非常に良かったのは、今までのシリーズでは特定の場所でしか出来なかったこの「合体」を、限定つきとはいえ何処でも行えるようにした事であった。
これこそがこのゲームを今までのメガテンから大きく飛躍させた要因だったと思うのだ。

そして、前作の「デビルサマナー」のキャラクターをさりげなく登場させる心憎さ。
また、今回初登場となるキャラクター達の魅力的な造形。
特に前作では怪しさと不気味さを強調されていた「ヴィクトル」に、魅力的なメイドの「メアリ」をつけてやる事によって所謂「萌えキャラ」系に拘るファンも獲得できたのは大きいだろう。

様々な意味で、今までのメガテンを大きく改善した本作は、1997年度のゲーム最優秀作となった。
今プレイしても、その魅力は些かも衰えてはいない。
メガテンの入門作として、是非一度はプレイしておく事をお勧めしたい作品である。


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