BOOWY


ハードでもなく、パンクでもなく、ましてポップでもなく、生粋のロックンロールと言うものを体現し尽くした稀有なバンド。
それが今回取り上げるBOOWYである。

ロックとは何か?
この答えは至ってシンプルなものであり、同時に実現が難しい。
つまり、ロックとは「何でもあり」なのだ。
何かの形にとらわれているのはロックとは言わない。
お約束とも言える様式美があったり、一方で何をやっても許される懐の広さもある。
だからロックは素晴らしいのだ。

これを活動全般の中であらわしてきたのが彼らだ。

彼らの特徴は、ギターを前面に押し出したアレンジとポップなメロディを融合させて、独自のスタイルを貫いたところにある。
布袋氏のギターアレンジは極めて日本離れした、イギリスのパンクバンドを彷彿とさせるものがあり、それでいながら氷室氏のポップセンスの冴え渡るヴォーカルがフィットする。
松井氏と高橋氏はリズム隊としてでしゃばらない、控え目でありながらも重厚なビートを作り出す。
この4人だけにしか出来ない、4人だけのスタイルを彼らはしっかりと持っていた。
したがって、どの方向性を向いていようが、彼らは彼らのままなのであった。

デビューから解散まで、彼らの音楽性はアルバムごとに微妙な変遷を遂げてきた。
パンクをベースにしたもの、ポップをベースにしたもの。
そして、同じコンセプトを持っていながらも楽曲のカラーはアルバムごとに微妙に異なる光彩を持っており、しかしながらそれが「彼らのスタイル」と言う不変のものにしっかりと括られている。
BOOWY的スタイルとも言えるものが常に存在しており、そのテイストは極めてロック的なのだ。
後の日本的ロックの元祖となったのも頷ける。

それまでのロックが、ややもするとおざなりにしてきた「ビート」の面に焦点を当てたのも彼らである。
ロックはメロディでも歌詞でもない、ビートなのだと言う定義の元、彼らの楽曲は爽快なほどに突っ走っている。
それまでの音楽が「自分の主張を歌にするもの」だったのに対し、彼らは音楽を「エンターテイメント」にまで昇華させたのだ。
「ノれ! 楽しめ!」と言うのが彼らの音楽的主張だったのである。
まさに「音楽の原点」、ロックンロールのロックンロールたる所以を見事に実践してのけたわけだ。

自分達も楽しみ、聴いている者達も楽しむ。
彼らの音楽性は全てそこに集約される。
彼らのアルバムも楽曲も、小難しい理屈はいらないのだ。
聴いて楽しめる、それだけだ。
俺は思う、これこそが「音楽」の姿なのではないかと。

お勧めアルバム

はっきり言って全部。
敢えて進めるなら、ポップ寄りが好きなら「BEAT EMOTION」、パンク寄りが好きなら「MOLAR」


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