いただきストリート


エニックスと言えば「ドラクエ」。
日本人のほとんどがそう思っているだろう。
だが、俺は敢えて言おう。
エニックスと言えば「いただきストリート」、通称「いたスト」だと。

「いただきストリート」は、ボード型のサイコロ戦略土地買占めゲームである。
と言ってもよく解らないだろうから、ちょこっと説明する。
参加人数は1〜4人。
各々がサイコロを振り、マップの上を移動していく。
マップには、持ち主のいない「店」があり、そこに止まると、その店を「所有」する事が出来る。勿論、店を買い取るには、その分の価格を支払わなければならない。
プレーヤーはマップを移動しつつ店を買い占めていき、マップを一周すると給料をもらう。それを元手に、また新たに店を買い占めるためにマップを周る訳である。
自分の「所有」する店は、ほかのプレーヤーが止まったときに、強制的に「買い物料」を搾り取る事が出来る。
当然、自分が他のプレーヤーの「所有」する店に止まった場合、「買い物料」を支払わなければならない。
店は、それぞれマップ上に「商店街」を形成しており、これを「ストリート」と呼ぶ。
同じストリートの中に、自分の「所有」する店が複数あると、相乗効果により、その店の「価値」が上昇する。
店の「価値」が上昇すると、設定されていた「買い物料」も上昇し、より多くの金を搾り取る事が出来る。
店の「価値」が上がるのだから、自分の「資産」も上昇する事になるわけだ。
さらに、各「ストリート」には「株」が存在する。
「ストリート」に存在する「店」の「価値」が上昇する事により、その「ストリート」の「株価」も上昇していく事になるわけだ。
これがどう言う事かというと、ある「ストリート」を一人のプレーヤーが占有した場合、その「ストリート」の「店」の「価値」は相乗効果で跳ね上がり、その「ストリート」の「株価」も、つられて膨大な値上がりをする、と言う事になる。
さらに恐ろしい事に、このゲームには「増資」と言うものがある。
これは、自分の持っている店に「資金」を投入してその「価値」を無理やり上昇させると言うものだ。
これにより、「買い物料」は天文学的な数字に跳ね上がり、「ストリート」の「株価」は、とんでもないインフレになるわけである。
こうやって自分の「総資産」を増やしていき、ある一定値を超えたものが優勝。
莫大な買い物料を払って破産する可能性もある。
人生の悲喜こもごもが詰まったサイコロゲーム、これが「いたスト」である。

上に書いたものは、このゲームのほんの一部と言うか、概略でしかない。
このゲームが本当に素晴らしいのは、極めて高い戦略性を発揮できるところにある。
これは、実際にゲームをプレイしない限りは絶対に解らない事で、説明のしようがない。
確実に言えるのは、「運」と「戦略」、この二つが極めてバランスよく配置されており、何度プレイしても決して飽きる事がないということである。
ファミコンに始まり、スーファミ、プレステと根強い人気を誇って、続編を生み出してきたのも頷ける。

エニックスが「ドラクエ」を世に送り出して有名になった事は間違いない。
だが、ひっそりと送り出された陰の名作、「いただきストリート」を抜きにしては、エニックスの凄みを語る事は出来ないと思う。
多くの言葉は要らない。
何も言わずに、是非一度、プレイしてほしい。
改めて、エニックスという会社の「凄み」を知る事になるだろうから。


戻ろうか