カーマゲドン2
免許を持つ人間ならば、誰でも1度はこんな事を考えた事があるだろう。
「嗚呼・・・。思い切り人間を、イヌを、ペンギンを、そして車を、この俺が今運転する車を激突させて破壊してみたい・・・」
そんな原始的な破壊本能を、圧倒的に満足させるゲーム。
それが「カーマゲドン2」なのである。
「り〜ぶ・とぅ〜・ふら〜い・え〜いせ〜ず・は〜ああ〜〜〜〜〜〜〜〜い♪」
ブルース・ディッキンソンの強烈なヴォーカルと共にメイデン特有のハモリが冴え渡る「Ases
High」を始め、合計4曲ものアイアン・メイデンの歌が流れる中、あなたは主人公(?)マックスとなって、手当たり次第に車や人を破壊していく。
このゲームのクリア目的は3つ。
1:コースを5周する事。
2:1位でゴールする事。
3:敵の車をすべて破壊すること。
そう、このゲームは他のレースゲームとはちょっと違う。
他のゲームと比べて、1項目増えているのだ。
この1項目こそが、このゲームを「地上最強のレースゲーム」にしているのだ。
途中、コースにはそれなりにチェックポイントがある。
くぐればタイムが増える・・・というのは普通のレースゲームの話。
このゲームでは、チェックポイントをくぐっても、タイムは増えない。
勿論、最初に与えられたタイムではとてもじゃないが5周するなんて無理だ。
じゃあどうやってタイムを増やすのか。
簡単である。
他の車にダメージを与えるか、マップ上の人間やイヌやウシやペンギンを轢けば良いのだ。
それも、残虐に轢けば轢くほどにボーナスがつく。
人間を跡形もなく木っ端微塵に砕き散らせば、「スプラッターボーナス」がつく。
更に、障害物を利用して轢き殺せば「ナイスショット・サー!!」である。
勿論、やられる側も黙って突っ立ってはいない。
慌てて逃げまくったり、諦めて座り込み、神に祈ったりするのだ。
こうしてタイムを増やしていき、通った後にはペンペングサ一本生えていない状態になったらそのステージは無事にクリアだ。
言っておくが、他の車は「スタートと同時に」こちらに向かって突っ込んでくる。
誰も5周して終わらせようとか、1位でゴールしようとか、そんなことは考えていないので、そのつもりで。
そんな甘っちょろいことを考えていたら・・・。
いや、このゲームのオープニングムービーを見たら、もうそんな考えはどっかに飛んで行ってしまうな。
俺は基本的に「レースゲーム」が嫌いだ。
せいぜい「アウトラン」が面白かった程度で、「デコトラ伝説」でさえ、まあまあだな、というレベルでしかなかった。
だが、このゲームのおかげで、俺はレースゲームの真の面白さを悟った。
というか、他のレースゲームなんて、ただのクソゲーだ。
人間を轢けないとか、ラップしてタイムが増えるだとか、そんなもんはレースじゃねーや。
破壊衝動を満足させられないレースゲームなんかに、俺はなんの用事もない。
世間一般では虐殺ゲームで通っている「カーマゲ」だが、このゲームは本当の意味でのドライバーを良く知っている。
歩道を爆走したいだとか、鋼鉄の門扉に突っ込んでブチ破りたいだとか、横断歩道を渡っている子供達の群れに突っ込んで「何HITコンボ取れるかな〜?」とか、そういった妄想を抱いているのがドライバーなのだ。
このゲームをやらないうちに「運転とは〜」とか語っても、何の説得力もない。
更に言えば、このゲームを避けてレースゲームを語るなんて許されざる行為だ。
絶対的な破壊衝動を持った者達に捧げられた、脅威的な完成度を誇る超名作、それが「カーマゲ」だ。
ゴタクは良い。
もう何も言わないから、とにかくやれ!!