これは聴いとけ! ギターインスト10選


世に星の数ほどギタリストはいるけれど、インストをきちんと聴かせられるかってーと、これは難しい。
何せ、普通の作曲とインストは色々と勝手が違うものなのだ。
今回はそんな難関を軽々と超えて、しっかり聴かせてくれるインストを10曲ばかり、あくまで俺の独断を基準に選んでみた。
何かの基準にしてみて欲しい。

尚、振ってある番号あくまで便宜上の物。
順位とかとは関係がないのでそのつもりで。

 

1:For The Love Of God [STEVE VAI / Passion And Warfare]

スティーヴ・ヴァイの渾身のプレイが堪能できる超名曲。
スティーヴ・ヴァイという人は基本的に「無駄なプレイはしない」ギタリスト。
桁外れなテクニックを有しながらもそれに引き摺られる事なく、必要な時に必要なテクニックを配して曲を盛り上げていく姿勢を保っている。
この曲では彼の全てが凝縮されており、後半からの鬼のような音符の塊と、前半のゆったりしたメロディックなプレイとが渾然一体となっている。
その落差はまさに圧巻。
数ある彼の曲の中でも、文句無しの代表曲といって良いだろう。
テクニック志向派の人には、是非一度耳を傾けて欲しい曲だ。

2:Black Star [YNGWIE J. MALMSTEEN / Rising Force]

イングウェイといえばこの曲だと言っても良いだろう、そのくらいの代表曲だ。
クラシック傾倒主義者のための聖典と言っても過言ではあるまい。
注目すべきは鬼のような速さがメロディの一部としてこれ以上ないほど曲に溶け込んでいるところだろう。
何度も言うが、速さ=上手さでは決してない。
いかに自然に曲の中にその速さを取り込めるか、ギタリストにとっての速さとはそのために存在する。
昨今のイングウェイはともかく、この頃のイングウェイはそのバランスが非常に絶妙、曲の完成度の上に成り立つテクニックを知りたいなら是非聴いておくべきである。

3:Sacred Ground [STEVE MORSE BAND / Structural Damage]

スティーヴ・モーズと言えばその凄まじいピッキングテクニックが取り沙汰されがちだが、この曲ではその高い作曲能力も注目すべき。
全体的に見て過剰とも言えるエフェクトがかかっていながらも、一音一音がしっかりと響いてくる音作りも実に素晴らしい。
スタイルとしてはカントリーを彷彿とさせる物があるため参考にはなりにくいが、曲の創りを整えた上でのメロディ構築は是非見習うべきであろう。
そろそろペンタトニック以外のスケールに興味が沸いたという人は、是非一度聴いておこう。
また、聴き所のピッキングテクニックもしっかりチェックすべし。
正確無比のリズムキープである。

4:The Loner [GARY MOORE / Wild Frontier]

タメ、泣き、そういったエモーショナル系の大御所ゲイリー・ムーアが放つブルースロックの決定版。
これでもかとばかりに感情に任せて弾きまくるギターフレーズを、隅から隅まで堪能する事が出来る傑作インストゥルメンタルだ。
この曲ではヴィヴラートとかチョーキングといった細かな所に注目して聴いてみる事をお勧めする。
多くは語るまい、聴くべし!

5:Puppet Show [DANGER DANGER / Screw It !]

中休みで使われているような曲であるが故に、そのインパクトは強烈。
凄まじいテクニックを堪能できるナンバーだ。
弾いているのはアンディ・ティモンズ。
この曲では速さと同時に重さを演出するハーフミュートピッキングに注目。
所謂マシンガンピッキングの代表曲ともいえるだろう。
複雑極まりない弦移動やスキッピングと言ったテクニカルなフレーズ満載で、テクニックを磨きたい人の練習曲としてはもってこいだろう。
因みに俺は全く弾けない。
と言うか、こんなの弾ける奴いるのか?

6:Child's Anthem [TOTO / TOTO]

全体的な纏りを感じさせるアレンジが秀逸なインスト。
全ての楽器が実に効率よく音の重なり具合を演出しており、ハーモニーを楽しむ事が出来る。
メインのフレーズはスティーヴ・ルカサーのギター。
派手なテクニックはないものの、楽曲全体の纏りを感じさせる創りはまさに名曲。
この曲では全体の纏りの中で主張するギターに注目してみよう。
あくまで楽器の一部としてのギターに拘ったアレンジを志向するなら、一度は耳に通しておきたい一曲である。

7:DEE [OZZY OSBOURNE / Blizzard Of Ozz]

夭折した天才ギタリスト・ランディ・ローズの美しいプレイが心を打つ。
アコースティックギターによる切ないメロディが素晴らしい。
ギター1本でメロディを作っていくことは至難の技だが、この曲ではそのお手本とも言えるオーケストレーションプレイを楽しむ事が出来る。
音が重なって出来あがる和音の中で生きるメロディ、この曲では存分にそれを堪能できる。
アコースティックアレンジに興味のある人は必聴だ。

8:Today Is A Good Day To Die 〜 My Spirit Lives On [MANOWAR / Louder Than Hell]

イングウェイが「ギターでクラシックを体現する」達人だとすると、マノウォーは「クラシックの中にへヴィメタルを取り込む」達人だと言える。
無論、それは彼らが真のへヴィメタルを体現しつつも、そのルーツにクラシックがあるからである。
この2曲はまさにその最たるものである。
前半の「Today〜」はまさにクラシックナンバー。
オーケストラを効果的に使い、その中に彼らの楽器が融合して生み出される雰囲気は重厚且つ荘厳だ。
後半の「My Spirit〜」からは強烈なギターソロ。
凄まじい速弾きとメロディックなラインに圧倒される。
弾いているのはギタリストであるカール・ローガン。
注目すべきはピッキングの激しさと、その間に効果的に挟まれるハンマリング&プリングの連続技。
前半の荘厳さとのギャップも相俟って、そのプレイには魂を揺さぶられる事請け合いである。

9:Switch 625 [DEF LEPPARD / High 'n' Dry]

インストでハードロックするとこうなる、という見本のような1曲。
派手過ぎず基本に忠実なプレイが堪能できる。
メロディーも実に単純でありながらも思わず口ずさみたくなるようなキャッチーさを持っており、純粋に「カッコイイ」と思えるナンバーである。
弾いているのは今は亡き天才作曲家スティーヴ・クラーク。
作曲の天才が作った曲だけに、ギターインストでありながらもそのアレンジは通常の曲のそれと全く変わらないアプローチでなされており、それが返ってみずみずしい。
インストとしては滅多に存在しないアレンジであるため、参考にはなりにくい。
しかしながら、アレンジとギタープレイの双方を研究するには最高の素材と言えよう。

10:Mandy [HAREM SCAREM / Mood Swings]

初めてこの曲を聴いた時は、あまりの美しさに失禁しそうになったことをよく覚えている。
少なくとも俺は地上に存在するインストの中では最高に好きな曲だ。
弾いているのはピート・レスペランス。
キーボード、ベースともに味付け程度、純粋にギターのみで構築されたアレンジと全体の進行、各所に配置された小憎たらしいテクニック、歪み過ぎずクリーン過ぎない絶妙の音作り、どれをとっても文句なしである。
バックでプレイされているのはクリアトーンによるアルペジオ。
その上で切々とギターソロを奏でていくという、ある意味インストの黄金比とも言えるアレンジだが、それだけにそのセンスが問われるアレンジだとも言える。
この曲ではピートのセンスが如何なく発揮されている。
速さやテクニックではなく、あくまでもメロディの美しさに拘った音の並び方が実に秀逸。
己のギタリストとしてのセンスに自信がある人は一度は聴いておくべき。
聴いて凹んでください。

 

■という訳で、今回限りの企画だがインストについて語ってみた。
機会があれば別の企画を立てて、ギターオンリーで語ってみたいと思う。


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