ザ・名演 Part8
「アルマゲドン」という映画で主題歌を提供しているエアロスミス。
あの曲だけ聴いて、エアロについて知ったような事を語っているヤツがいてムカついたので、今回は彼ら。
本当はもっと古いアルバムにしようと思ったが、まずは名盤の呼び声が高い「PUMP」から行こう。
彼らについても、何れは別のアルバムについて言及する。
では、曲紹介。
1:Young
Lust
2:F.I.N.E.
3:Love In An Elevator
4:Monkey On My Back
5:Janie's Got A Gun
6:The Other Side
7:My Girl
8:Don't Get Mad , Get Even
9:Voodoo Medicine Man
10:What It Takes
11:Ain't Enough
曲数は多いが、良い曲は前半に連なって配置されていて、後半はかなりたいしたことがない曲ばかりである。
そして、これが彼らの特徴である。
1:Young Lust
非常にイキの良いロックンロールナンバーだ。
ギターのリフが特徴的で、単純なコードを無視して組みたてられいる。
音がかなり生々しいだけに、強烈なインパクトがあるリフメイクとなっていて、高音弦のチョーキングを絡めたプレイが耳に響き渡る。
ヴォーカルのスティーヴン・タイラーのハーモニーも絶妙で、ノリの良さを演出している。
オープニングナンバーとしてのデキは天下一品だと言えるだろう。
2:F.I.N.E.
前の曲から続く形で始まるこの曲は、打って変わってヘヴィでミドルなハードナンバーだ。
この曲では、是非トム・ハミルトンのベースプレイに注目して欲しい。
無駄な音を出さず、徹底的にボトムを支える「お仕事」に徹するその姿はまさに職人、切れの良いプレイが冴え渡っている。
また、ヴォーカルのスティーヴンもかなり自由にラインを崩して暴れまわっていて、ミドルテンポならではのヘヴィな魅力を満喫できる。
3:Love In An Elevator
エレベーターの中でヤリまくり、という曲だが、アホなタイトルとは裏腹に曲の完成度と言い展開と言い、アルバム随一の完成度を誇っている超名曲だ。
特に注目したいのが、ギターソロにおけるリズム展開の自然な変化。
前半のギターソロがジョー・ペリー、後半がブラッド・ウィットフォードによるものと思われるが、前半はミドルテンポのへヴィなリズムでありながら、後半ではシャッフルビートに展開していくのである。
また、ギターソロ自体も、それぞれのギタリストの特徴が余す所なく現れていて、非常に聴き応えがある。
これは、ドラマーのジョーイ・クレイマーのセンスの為せる技であろう。
ヴォーカルハーモニーも非常に秀逸で、あらゆる意味で彼らの代表曲の一つに挙げられるだろう。
4:Monkey On My Back
こちらは彼らの特徴でもある「スライドバーによるリフ」を前面に押し出した、ミドルナンバー。
これと言って特徴は無いものの、曲全体がかなりのハイテンションで演奏されていて、へヴィなイメージを持たせつつも浮遊感漂うアレンジとなっている。
これは、一番肝腎なサビの部分でこの曲のキーがはっきりしないように組みたてられているから。
ベースプレイとギターのリフの絡みが絶妙で、単音リフを活かした作りが実に特徴的だ。
中休み的な曲ではあるが、彼らの特徴の一つを堪能できる曲ではある。
5:Janie's Got A Gun
このアルバムの、もう一つのハイライトとも言える名曲。
イントロの語り調の部分は、かつて「空耳アワー」にも取り上げられていた。
パッと聞くと、かなり沢山の楽器が使われているように聞こえるが、実態はそれほどでもなく、かなりシンプルな作りでできている。
音が重厚で、曲の展開なども非常に非常に劇的にできているため、大作のイメージを持ちやすいからだろう。
特にサビの部分の盛り上がり方は尋常なものではなく、ここだけマイナーキーに転調しているアレンジであるのが、非常に効果的に効いている。
単調と言えば単調な流れの曲ではあるが、全体的なアレンジの優秀さがそれを感じさせない。
素晴らしい名曲である。
6:The Other Side
非常にシンプルなロックンロールナンバーだが、時折挿入されるブラスが効果的になアクセントを演出していて、退屈な感は全く無い。
ギターのリフもロックンロールの王道なのだが、全体の纏りを優先したため、こういった作りになったのだろう。
総合的なアレンジの妙が楽しめる曲である。
7:My Girl
ここから先は捨て曲に近い物がある。
これはつまらないロックンロールナンバー、曲数合わせだ。
8:Don't Get Mad , Get Even
スローテンポのつまらない曲。
ブルースっぽい。
9:Voodoo Medicine Man
これはカッコイイへヴィナンバーだ。
激しい展開が売り物で、更にそこに無気味な音使いが重なってくる。
注目したいのは、トムのベースプレイ。
ギターの音がそれほどへヴィには出来ていない中、この重さを演出するのはトムのベースである。
変幻自在のベースラインを楽しませてくれる。
また、スティーヴンのヴォーカルも低音からシャウトまで実にバラエティ豊かな展開を持っていて、かなり劇的な曲だと言える。
10:What It Takes
曲自体は大したことがない、単なるバラードではあるが、日本のとあるバンドが「憂いのジプシー」という曲に改題して演奏していた曲。
展開などはお約束で、それほど耳に残るバラードではない。
と言うより、彼らはそれほどバラード作りがうまい訳ではないので、これは当たり前かもしれない。
と言うか、「エアロはバラード良いよね」とか言ってるヤツは単なるハードロックモグリだから相手にすんなよ。
11:Ain't Enough
最後をバラードで締めるのが気に入らなかったのかもしれないが、ちょっとイキの良さげな曲を持ってきたと言うロックナンバーだ。
だが、これと言って特徴は無い。
別に聴き応えもある訳ではないので、流して聴く程度で結構だ。
■まあ、エアロというバンドの最大の持ち味は、変幻自在のリズム感である。
派手なロックンロールからラップを取り入れた曲に至るまで、実に見事なアレンジで聴かせる。
言ってみれば、彼らの音楽感を支配しているのは「ビート」や「ノリ」といった部分であって、メロディでは決してない。
それゆえに曲にばらつきも出るのだが、同時にすごい名曲も生まれてくる訳である。
この変幻自在なビート感が、彼らの名演の基礎である。
バラード云々なんてのは、きっと彼らに言わせたらお笑いだろう。