MOON.
現在のKeyスタッフの原点とも言える作品で、KanonやAIRからは想像もつかないほどにダークで痛くてエロい作品です。
しかし、シナリオの纏まりやキャラクター造形などは非常にしっかりと纏まっていて、出来から言えばベストに近い作品です。
重たく暗い雰囲気が全体を支配していますが、昔から統一して主張されてきた「家族の暖かさ」というコンセプトは、このゲームから既に健在でした。
エロ (点数が高いほどエロいです) | 88点 |
原画 (点数が高いほど俺的には綺麗) | 78点 |
キャラクター (点数が高いほど魅力があります) | 93点 |
ヴォイス (点数が高いほど上手です) | なし |
ストーリー (点数が高いほど完成度が高いです) | 85点 |
音楽 (点数が高いほどシーンとマッチしています) | 91点 |
システム (点数が高いほど扱いやすいです) | 46点 |
難易度 (点数が高いほど攻略が難しいです) | 72点 |
★私見を言わせてもらえば、鍵・Tac系ゲームの中ではAIRと同じくらい好きなゲームです。
あらゆる意味で気合が入りまくっていて、全体的なバランスは素晴らしいものがあると言えるでしょう。
鍵になってからあからさまに蔑ろにされているエロについても、物凄く丁寧に描かれていて、非常に好感が持てます。
堂々と胸を張って「エロゲー」と主張できる要素を供えた良作だと言えるでしょう。
●エロ
やや勢い重視過ぎたり、描写がリアル過ぎて汚い印象を与えたりする部分もあり、その点の不満は多少ありますが、ほぼ文句なくエロいです。
いたる女史の原画の方もこの頃のほうが思いきった描き方をしているかと思います。
時々笑えたりするのはご愛嬌ってことで。
●原画
実のところ、この頃のいたる女史の画のほうが圧倒的好きなんですよ、俺。
上手い、下手って判断は分からないんですけど、この頃のほうが味みたいなのがあって好きです。
●キャラクター
がっちりと細部まで掘り下げられた、しっかりとしたキャラクターばかりです。
特徴とか口癖とかは殆どありませんが、それでもここまでしっかりキャラを描き切っているところ、のちの鍵スタッフと同一だとは、ちょっと信じられませんね。
キャラクターの性格付けや信念、行動理念などがきっちりと描かれていて、どのキャラにも好感を覚えます。
そして、どのキャラもみんな「強い」キャラです、これは重要なポイントですね。
特に主人公の郁未たん萌え、つーか激萌え。
●ヴォイス
ありませんが、声をつけるなら個人的には郁未たんは川上ともこさんのウテナっぽい演技を希望したいところです。
●ストーリー
あまり手を広げ過ぎず、「離れ小島での不気味なお話」の展開を押さえた作りになっています。
あっと驚くような仕掛けや、お涙ちょうだいなところはありませんから、凄く安心して読むことが出来ると言えましょう。
その分、やや荒削りだったり唐突だったりするところもありますが、違和感は殆ど感じません。
ギャグはあんまりありませんが、会話の掛け合いの切れ味は既に絶妙ですね。
●音楽
多分、鍵・Tac系の中ではベストです。
曲数は多くありませんが、無駄なエフェクトやあざとさは殆どなく、しっかりとBGMの必要充分条件を満たしています。
勿論場面との雰囲気もかなりしっかりマッチしていて、文句なしです。
●システム
えー、これはかなり扱いづらいです。
右クリックでメニューを出し、左クリックで決定していくところはいいとして、画面の扱いがかなり特殊で、メッセージは別ウィンドウで出るし移動は面倒臭いし、かなりキツイです。
リニューアル版は比較的扱いやすいですが、それでも移動はやっぱり面倒ですね。
●難易度
難しいです。
特にCG集めるのはかなり厄介ですし、トゥルーエンドへ到達する事もかなり難しいでしょう。
更に落書きまで集めるとなると、その作業ははっきり言って地獄だと思います。
★総評……の前に。
俺の中での鍵・Tac系ゲームの位置付けなんですが、AIR・MOON.>>>>>>>>> (中略) >>>>>>>>>>ONE>Kanon、ってカンジになります。
これを元に総評すると、年々ゲームの質が幼い方向に移動しているように思えてしまうスタッフ達の、最高傑作だと言えるかと思います。
尤も、AIRに至って方向性はがらりと変わったと思いますがね。
なんにしても、後の感動系ゲーム云々では括れないし括って欲しくない、素晴らしい品質のゲームです。
まだまだ「エロ」という要素に重点を置いているところとか、現実で生きていく辛さを問いかけるストーリーとか、色あせない物がたくさん詰まっている傑作です。
知名度は鍵・Tac系では最低ですけど、是非やっておくべきゲームだと断言します。
ほぼパーフェクトだと言えるかと。
それと未確認情報なんですが、2002年7月には完全リニューアル版としてDVD版が発売されるとの事ですので、実現の暁には是非購入して下さい。