ジョジョエア

ジョジョ+AIRのジョジョネタ・第3部


ジョジョエア(JOJO+AIR):佳乃ルート7月22日

”翼の女”蘇生実験の巻

 

町外れの丘にある、無人の神社。
時間はもう夜遅い。
どう考えても、少女が一人で来るような場所ではない。

【少女】「………」

【少女】「どうしよう…」

【少女】「記憶喪失になっちゃった、あたし…」

少女の中では、かなり深刻な事態になっているようだった。

【少女】「うぬぬ。これは一大事」

【少女】「帰って、さっそくお姉ちゃんに治してもらわないと」

【往人】「すごいお姉ちゃんだな。記憶喪失が治せるのか」

【少女】「うんっ」

【少女】「あのね…」

とっておきの打ち明け話をする顔で言う。

【少女】「あたしのお姉ちゃん、お医者さんなんだよぉ」

【往人】「医者?」

【少女】「そう、すっごく腕のいいお医者さんなんだぁ」

【少女】「車からトラクターまで、なんでも治せるんだよぉ」

【往人】「それは、ある意味ものすごいな」

【少女】「そうっ! ものすごいんだよっ!」

【少女】「だからね、記憶喪失なんてへのカッパっ!」

【往人】「なるほど」

【少女】「複雑骨折も内蔵破裂もへのカッパっ!」

【往人】「そうか」

【少女】「目から光線も膝からミサイルもロケットパンチもへのカッパっ! 我がお姉ちゃんの医学薬学は世界一ィィィ! できんことはないイイィ――――――――ッ!!

【往人】「………」

少女の姉だという天才医師の姿を、俺は想像してみた。
当然、白衣はナチスの軍服だろう。
片目に紫外線照射装置を装備しているだろう。
親衛隊で対吸血鬼戦闘部隊指揮を担当しているだろう。

 

【往人】「………イヤな医者だな


ジョジョエア(JOJO+AIR):佳乃ルート7月30日

『霧島聖』と『霧島佳乃』の巻

 

打ち水を終えて、俺は待合室に戻った。
だが、休んでいる暇はない。
次は俺の得意種目。
言うまでもなく、モップ掛けだ。
それが終わったらトイレ掃除だ。
それが終わったら診察室掃除だ。
その時、ものすごく重要なことに気づいた。
俺はこの格好のままなのか。
ユニフォームの支給はないのか?
せめてエプロンとかゴム手袋とか貸してもらえないのか?
というか、その辺をちゃんとしないと細菌で院内感染でマジで危険で大ピンチなんじゃないのか?

【往人】「………」

探してみることにした。
その手のものがあるとすれば、診察室以外にない。
ドアノブに手をかける。
当然のように鍵はかかっていなかった。
扉を開けて、中に入る。
改めて辺りを見回してみる。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

【往人】「…………。いる…どこかに潜んでいる……。…だがなんだあの注射器は…!? メスのような刃物も置いてある………………!!」

【往人】「医療器具…………この女…『医者』か?


ジョジョエア(JOJO+AIR):佳乃ルート7月26日

魔法のバンダナの巻

 

【往人】「それよりも、お前の魔法で何とかしてくれ」

腹立ちまぎれに、無茶なことを言う。

【佳乃】「ふぇっ、あたしの?」

佳乃が目を丸くして、俺を見返した。

【往人】「大人になったら使えるんだろ、魔法」

【佳乃】「うぬぬ…」

瞳を伏せ、かなり本気で困っている。
冗談とはいえ、何となく罪悪感を覚えた。

【往人】「いやいい。自分で何とかする…」

言いかけた時。
佳乃の瞳が俺を真っ直ぐに見た。

【佳乃】「えっとね、一応訊くけど…」

【佳乃】「往人くんのいちばんの願い事って、なに?」

【佳乃】「お人形芸でガッポリ大儲けでいいのぉ?」

【往人】「違う」

【佳乃】「流しソーメンもっと上流で食べたいとか?」

【往人】「それも違う」

【佳乃】「それじゃ、なに?」

【往人】「………」

俺のいちばんの願い。
それは雲のように、とりとめない形で俺の中に浮かんでいる。
言葉が口をついた。
子供の頃、母親から繰り返し聞かされた言葉……。

【往人】「4つにしてくれ」

【佳乃】「ふぇっ?」

【往人】「願いだよ願い…叶える願いを4つにしてくれというのが願いだ…」

 

ジャン!

 

【往人】「チッチッ」

往人はカッコをつけ、腕を横に振る。

【佳乃】「往人くん、そ、そういう冗談は……!」

対して佳乃は泣きそうな声で答える。

【往人】「いやだというのか! カノッ!」

いきなり大声を出す往人。
佳乃は怯えきってしまう。

【往人】「きさまがいいだしたのだ! 約束は守ってもらうぞ!!」

【佳乃】「まじめに訊いたのに……。う、う、うわああ―――ん! 往人くんのばか――――!」

佳乃は往人のネタについていけず、泣きながら走り去っていった。
やれやれ、佳乃を泣かしてしまったか……。
メスを構えた極悪医師を思い浮かべて、思わず震え上がる。
どうやら「痛みの叫び」を出して「恐怖の悲鳴」を上げ、「後悔の泣き声」を全て却下されて丸焦げにされるのは俺の方らしい……。


ジョジョエア(JOJO+AIR):AIR編7月20日

炎のなぎーの巻

 

…キーーーンコーーーンカーーーーン……

大きな音が鳴った。
前は、この音の後に彼女が出てきたから、うれしい。

ざわざわざわ…

たくさんのひとが、中から出てきた。
ぼくは、彼女の姿をさがす。

………。
……。
…。

こない。
ぼくの前を通りすぎるひとたちも、もう少なくなった。
どうしたのだろう。
影から出て、中を覗いてみる。

【女の子】「………」

【女の子】「…あれ……?」

目の前に、知らないひとが立っていた。

【女の子】「………」

女の子は、ぼくをじっと見下ろしている。

【女の子】「……ゲッ! カラスに睨まれて鳴かれましたッ……!」

 

クル バッ

 

女の子は後ろを向いて、股の間からそらに石を投げつけた!
慌ててそれを避けるそら。

【女の子】「……ホ! ……あせりました」

【女の子】「……『股の間からヤツに向かって石を投げる』………これをやればカラスの呪いから逃れられます…」

満足そうに呟きながら女の子は去っていった。
その後姿を見て凄く悲しい気分になる、って言うかぼくは鳴いてないんだが。


 

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