カナリア 〜この想いを歌に乗せて〜


最初にお断り致しておきますが、このゲームは基本的に「洋楽」が好きじゃないと小ネタを楽しめません。
そのかわりと言ってはなんですけど、洋楽を知ってると腹の皮が捩れるくらいに爆笑してその辺りをのたうち回れたりもします。
因みに、俺はナパーム・デスもベンチャーズも聴く両極端の人です(ゲーム中にそういうネタが出てくる)。
基本的に、バンドを組んでる連中の学園青春モノのアドヴェンチャーです。
おまけでキャラクターロゴ入りのピックが付いていたそうですからかなり徹底していますが、それが馬鹿でかい三角ピック(トライアングルタイプ)じゃ使えないよなあ……。
俺はティアドロップよりも小さいジム・ダンロップのJAZZV使ってるし。
さて、そんなマニアックな余談は置いておくとして、このゲームは俺のお気に入りの「グリ−ングリーン」のスタッフが作った、所謂前作にあたります。
よって、続作との比較なんかを交えつつ書いていきたいと思います。

エロ (点数が高いほどエロいです) 75点
原画 (点数が高いほど俺的には綺麗) 83点
キャラクター (点数が高いほど魅力があります) 90点
ヴォイス (点数が高いほど上手です) 92点
ストーリー (点数が高いほど完成度が高いです) 86点
音楽 (点数が高いほどシーンとマッチしています) 88点
システム (点数が高いほど扱いやすいです) 56点
難易度 (点数が高いほど攻略が難しいです) 41点

 

★「グリグリ」の前作にあたるだけあってノリの良さは全く一緒だと言えますが、同時に各パーツがまだ荒さを感じさせます。
原画、音響、ビジュアル、システムなどなど、まだ今のようなキレはありません。
シナリオ管理の甘いところがややあり、主人公やヒロインの言動に前言を翻すようなところもあったりします。
しかしながら、総合的な判断をする限りはそれほど気になるものではありません。
良く纏められてあるゲームだと思います。
相変わらずキャラクター達の魅力には脱帽します。

 

●エロ

原画的な意味でのエロさはあまり感じませんが、テキストのエロさはなかなかなものでしょう。
しかし、やはりパターン類似的なものを感じてしまいます。
シチュエーションなどにはバラエティを持たせていますから、この調子でエロそのものにももっと幅を持たせても良かったかと思います。

●原画

「グリグリ」で俺を完全にノックアウトした片倉さんの原画ですが、この頃はまだ今ほどの切れ味はありません。
あと、全体として立ち画のヴァリエーションが少ないのがやや不満ですね。
「グリグリ」は殆ど「ゲームじゃなくてアニメ」の域に達しているのですが、こちらは典型的なアドヴェンチャーゲーム、という感じがするビジュアルです。

●キャラクター

相変わらず、サブキャラ含めていい味を出しています。
ヒロインの性格付けや、主人公に対するスタンスなども結構細かく練られていて、しっかりとしたキャラ造形であると言えるでしょう。
ゲーム世界の設定が設定だけにヒロイン同士の絡みもあって、その辺りのぶつかりあいも見物と言えます。

●ヴォイス

どうやら数名の超有名ベテラン声優さんが参加しているらしく、非常に安定していると言えます。
勿論、エロシーンにも手を抜いてはいません。
かなり聞き応えがあります。
ただせっかくフルヴォイスなんだから、こういう場合主人公の名前はデフォルトのみにしてもいいんじゃないかと。
それと、音声のWAVEがかなり音質が悪いです、どうしたんでしょうかね?

●ストーリー

各ヒロインごとに違いはありますけど、全体的に見て良く纏った、地に足のついたシナリオだと思います。
現実離れした設定もなければ、後味の悪さもありません。
非常にスッキリとしたストーリー展開と、爽やかな話の流れが好感を呼びます。
この点、続作の「グリグリ」よりも上回っているかと。
しかしながら、細かいイベントの連続を見なくてもクリアできるため、伏線ナシで話が展開するように見えてしまう所もあり、そう言った意味ではやや唐突とも言える展開がない訳でもないです。

●音楽

ゲームの設定が設定ですし、かなり派手なギターサウンドを堪能できます。
OPテーマも各EDテーマも何れも良く出来ていると思いますが、それでも「グリグリ」には及んではいないですね、まあ「グリグリ」が凄すぎるってだけなんですがね、この場合は。
雰囲気にマッチしたBGMは中々に秀逸です。

●システム

結構困った事に、既読スキップがありません。
一応「Ctrl」キーで飛ばせる事は確認してはいますが、これはしっかりつけておいて欲しかったですね。
あと高速クリック(左クリック連打)していると、クリック情報が残っちゃうらしく、次のシーンをすっ飛ばしちゃったりもします。
更に、選択肢が画面上に出ている状態でのセーブは不可能で、しかもその時のテキストも消えてしまったりしています(うちのマシンだけかも知らんが)。
バグのようなものはありませんが、もうちょっと充実していて欲しかったです。

●難易度

それほど難しくはないと思いますが、選択肢によって一撃で致命傷になるものもありますから、油断は出来ません。
とはいえ、選択肢自体が非常にストレートですから、余程のことが無い限りはちゃんと攻略できるかと。
あとは場所と時間のタイミングが合わないと、それでアウトになります。
このあたりはアドヴェンチャーの王道ですね。

 

★総評としては、「懐かしき学園時代」って感じのゲームでして、やっぱりストーリーを楽しむゲームです。
バンド経験者ならなんとなく辿ってきた道を、そのまんまゲームにしたようなゲームです。
ギタリストなら、1度はピックの替わりに1円玉を使った事があるでしょ?
各所にこんなカンジの小ネタが振られていて、思わずニヤリとします。
更に特筆すべきは、名前が出てくるミュージシャンや曲のバラエティの豊富さです。
ちょっと覚えているのを出しただけでもドッケン、サバス、パープルなどなど、曲名でも「Alone Again」なんてマニアック且つ名曲が出て来たりします。
そういう意味では、まさに音楽野郎のためのゲームです。
しかし主人公、一夜漬けの練習だけで曲を弾き熟せるようになるってんなら、物凄いギタリストだぞ……。

 

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