ジョジョエア

ジョジョ+AIRのジョジョネタ

登場人物


ジョジョエア(JOJO+AIR):観鈴ルート7月29日

悪鬼の最期! の巻

 

やがて、花火が尽きた頃。
観鈴が苦しみ始めた。

【観鈴】「あっ…」

【観鈴】「イタタ…」

ベッドの上で、身体をくの字に折り曲げる。
不意に、雨だれの音が聞こえた。
パジャマの膝にこぼれる涙の音だった。
たじろいだ俺に、観鈴は言った。

         グ    ア    ―――――――   ッ
【観鈴】GUAHHHH! こ…この激痛!! この熱さッ!」

観鈴は暴れまわった挙句、ベッドから落ちながら叫ぶ。

【観鈴】「WOOOOORRRREEYYYYYYYY!」

ドーン

【観鈴】「何世紀も未来へ! 永遠へ…………一人ぼっちで生きるはずのこの観鈴ちんがッ!」

【往人】「…………おまえ、まだまだ全然余裕ありそうじゃん」

【観鈴】「が、がお……」

 

ジョジョエア(JOJO+AIR):AIR編

観鈴の不気味の巻

 

【みすず】「結局わたしが、がんばっても、人に迷惑かけるだけで、いいことなんてひとつもなかったんだ」

【みすず】「わたしもあきらめていたらよかったんだ」

【みすず】「ずっと…誰も好きにならずに、ひとりでいればよかったんだ」

【みすず】「わたしだけが犠牲になればよかったんだ」

【みすず】「わたしだけが不幸になればよかったんだ」

【みすず】「はあっ…」

【みすず】「んぐ…」

【みすず】「はぅっ…」

【みすず】「う、うう……う〜〜ううう、あんまりだ…」

それから彼女は、変な声で泣き出した。

【みすず】HEEEEYYYY、ァァあァんまりだアァアァ」

            ア  ヒ  イ  イ  イ  イ      ア  ヒ  イ  イ  イ  イ     ア   ヒ   イ
【みすず】AHYYY、AHYYY、AHY、   
   ウ   ホ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ

WHOOOOOOOHHHHHHHH!!」

 

ピタリ

 

突然、彼女は泣き止んだ!

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

【みすず】フ――――ッ、スッとした。わたしはお母さんや往人さんに比べるとチと荒っぽい性格でね〜〜〜〜、激昂してトチ狂いそうになると、泣きわめいて頭を冷静にすることにしているの」

アンタ、アレは癇癪じゃなかったんかい……。

 

ジョジョエア(JOJO+AIR):SUMMER編

神奈、柳也を結ぶ絆の巻

 

【柳也】「裏葉、なぜあの場所を動いた?」

【裏葉】「もうしわけございません…」

【神奈】「余が命じたのだ、裏葉に咎はない」

きっぱりと言い放つ。
俺は神奈の様子がおかしいのに気づいた。
昏倒している兵士を見やると、神奈は俺に訊いた。

【神奈】「おぬしはこの者を殺(あや)めるつもりだったのか?」

【柳也】「そうしなければ、こっちの命が危うくなる」

神奈に俺がつき従っていることを知られた以上、生かして帰すわけにはいかない。
俺にとっては当然の話だった。
だが、俺の答えを聞いたとたん、神奈の態度が一変した。

【神奈】「恥を知れ、この痴れ者がっ!」

夜目に怒気がわかるほどだった。
俺はただ困惑していた。
神奈が何を怒っているのかわからなかったからだ。

【神奈】「おぬしは先ほど、この者に『命だけは助けてやる』と申したであろ?」

【柳也】「聞いてたのか…」

【神奈】「おぬしは平気で嘘をつくのか?」

【神奈】「おぬしは平気で誓いを破るのか?」

【柳也】「それは時と場合による」

【神奈】「余との誓いも、時と場合によっては破ると申すか?」

【神奈】「おぬしは平気で…」

【神奈】「人を殺めるのか?」

神奈はまっすぐに俺のことを見すえていた。
小さな唇がわなわなと震えていた。

【柳也】このカスが…激こうするんじゃあない……。目的を達するというのが至上の事! あくまで『翼人』を守り切れればよいのだ。できるだけ汗をかかず危険を最小限にし! バクチをさけ! 戦いの駒を一手一手動かすそれが『真の護衛』だッーっ!!」

【神奈】「……そのような者に、余は護られたくない、て言うかどっか行け! 宇宙にでも行け!!

【柳也】「ごもっとも…」

 


ジョジョエア(JOJO+AIR):美凪ルート7月29日

奇虫襲撃! の巻

 

朝。
いつものように夏の日差しと空腹に目を覚ます。
あいかわらずセミの声。
今が朝なのか昼なのか、判断がつかない。
そんな時間。微睡む時間が横たわっている。
朝食の準備をする。
飯盒に火をかけて、しばらく放置。
暇だった。
火の加減を調節しながら、暇つぶしにみちるが集めてきたガラクタの山を漁ってみる。

がらがらがら…。

古い国語辞典を発見する。
おそらくは、昨日みちるが遠野にあげるつもりでキープした辞書だろう。
それにしてもボロい。
ところどころページが破け、辞書としての機能も満足に果たせそうもない。
それでも何気なしにいちおうページをめくってみる。

ア行

タ行

マ行

おもむろにマ行を開いてみる。
ま、み、む、め、も。
やはり、男なら『ま』を開くべし。
よって、俺はマ行の『ま』で辞書を引く。

ぱらぱらぱら…。

【往人】「ここだっ」

俺はぴたりとページを止めて、紙面に目を通した。

【往人】「なになに…」

Massacre(マサクゥル!):みな殺し!

【往人】「……」

朝っぱらからロクでもない物を見た俺は、その日1日中鬱だった……。

 


『番外編』エアー来訪者(バオー+AIR):SUMMER編

無敵の肉体翼人の巻

 

母君が選んだ道は、下草が深くひどく歩きづらかった。
心なしか、さっきより足が早まっている。
…そうじゃない、俺が遅れているんだ。

【裏葉】「柳也様、顔色がすぐれないようですが…」

裏葉が耳打ちしてきたが、答える余裕もない。
一歩ごとに身体がみしみしと軋(きし)む。
気がつくと、太刀の鞘に左手を添えていた。
まったく出し抜けに、目の前がひらけた。
森の中のそこだけが、ちょっとした空き地になっていた。
行く手の斜面に沿って、大小の石が積まれていた。
かなり古い石垣だった。
月は煌々と照り輝いている。
舞台の上に引き出されたようだった。
身を隠せるようなものはなにもない。

びんっ

森のどこかで、楽器めいた弦の音が鳴った。

ぎりぎりぎりぎり…

次いで、弓を引き絞る音。
冷たい汗が、一瞬で背中に噴き出す。

【柳也】「散れっ!身を低くしろっ…」

叫びざまに抜刀し、三人の前に飛び出る。
神奈を無理矢理引き倒すようにしながら、裏葉がその場に伏せた。

ひゅん、ひゅん、ひゅん、ひゅんっ…

無数の矢が降り注いだ。
至近に飛んできた一本を払い落すので、精一杯だった。

【母】「あぐっ…」

くぐもった悲鳴を聞いた。
母君の胸元に、二本の矢が深々と突き刺さっていた。

【雑兵】「殺(と)ったりっ…」

【雑兵】「なにをっ、先の矢は我ぞ!」

高らかな声が、自らの手柄を奪い合う。
その刹那。
音がなくなった。
虫の声一片、葉擦れの音すらない。
透明の壁をへだてた、その向こう。
風が、たけり狂っていた。
伏せていた雑兵たちが、木の葉と共に空中に吹きあげられている。
ある者は切り刻まれ、ある者は叩きつけられ…はぎ取られた武具と肉片と血が、ぐるぐると渦巻いている。
中心には母君がいた。
怒りを力と変え、荒れ狂わせるかのように。

動物は危険がせまったりケガなどをすると、副腎髄質という内臓器からアドレナリンという物質を分泌し、体を緊張させるッ!
このアドレナリン量を脳に寄生する「バオー」が関知し…………『寄生虫バオー』は、宿主である母君を生命の危険から守るべく、無敵の肉体に変身させるのだッ! これがッ!

 

              アームド・フェノメノン
『翼人武装現象』だッ!

 

「寄生虫バオー」の麻酔作用開始!
矢が突き刺さる瞬間、体内の「寄生虫バオー」は母君の精神を麻酔し、彼女の肉体を完全に支配した!

瞳孔散大!
平滑筋弛緩。

「寄生虫バオー」の分泌液は血管をつたって細胞組織を変化させ………
背中に特殊な羽を生やす!

筋肉・骨格・腱に強力なパワーをあたえるッ!

これがッ!

バルバル!

これがッ!

バル!

これが『翼人』だッ!

ウォオオォム

そいつにふれることは死を意味するッ!
  ア ー ム ド ・ フ ェ ノ メ ノ ン
武装現象ッ!

 


ジョジョエア(JOJO+AIR):AIR編

エイジャの母親の巻

 

【女】「………」

【女】「み…」

【女】「観鈴を…」

【女】「観鈴を取って行かんといてやっ!」

声が響き渡った。

【女】「観鈴とやっと、ふたりだけの時間を過ごせるようになったんや!」

【女】「観鈴はずっとひとりやったんや!」

【女】「誰のせいや!? うちらのせいやないかっ!」

【女】「この子、ひとりにし続けたん、うちらのせいやないかっ!」

【女】「だから、うちはずっと一緒にいたることにしたんや!」

【女】「こんな状態になって、やっとひとりやなくなったのに…」

【女】「それでもあんた、うちらの揉め事でこの子振り回すんか!」

【男】「それは自分勝手な考えじゃないか? 晴子」

【女】「そうや。うちは頭悪いから世間体のいい言い回しも思いつかん」

【女】「うちがこの子といたい」

【女】「それだけやっ、悪いかっ」

【男】「僕の立場はどうなる」

【女】「知るかっ」

【女】「ただ、一つ言えるんは、あんたより、あんたらなんかより何倍もうちのほうがこの子と一緒にいたいっ!」

【女】「これは絶対やっ」

【男】「………」

【女】「もう話すことなんかあらへん、消えてくれんか」

【男】「その子を渡してくれたら」

【男】「これ以上あなたのそばで、病んでいくのを放っておくわけにはいかない」

【女】「うちが悪いんかっ!」

【女】「うちと一緒にいることで、悪くなっていく言うんか!」

【男】「そうは言っていない」

【男】「ただ、これ以上この場所にいても観鈴のためにならない、ということだよ」

【みすず】「………」

【みすず】「おばさん、恐い…」

【女】「あ…」

【女】「すまんな、観鈴。怒鳴ったりして…堪忍や」

【男】「おばさん、か…」

【女】「じょ、冗談や。今の、観鈴の冗談や…」

【女】「ずっとお母さんて呼んでくれてたんやで。ほんまや…」

【女】「うち、この子のお母さんやねん…」

【男】「あなたが思っている以上に、その子はあなたの元にいて安心していなかったように見える」

【女】「ちゃうねん…ほんまに、ちゃうねん…」

【女】「この子とうちは親子やった」

【女】「それだけは本当のことや…」

【女】「一緒に風呂入いったり、一緒に寝たりしたんや…」

【女】「ちゅーとかも、してたんや」

【男】「僕もここまで放任していた。あなたを責めるつもりも今更ない」

【男】「だけど、この子が苦しいと思うようなことだけは強いたくない」

【女】「………」

【男】「訊いてみるか、この子に」

【男】「これ以上、あなたのそばにいたいか」

【女】「………」

【男】「観鈴…」

【男】「まだ晴子おばさんと一緒にいたいか?」

【みすず】「おばさん…」

【男】「そう、おばさんとだ」

【みすず】「うーん…」

【みすず】「えっとね…」

【女】「…待ってや」

ふたりの間に、女が割って入る。

【女】「あのな…」

【女】「なにがあっても、ふたりは一緒にいるって…」

【女】「そう約束したんや」

【女】「だからな…うちらは一緒に居続けるんや…」

【男】「それを今、訊こうとしてるんじゃないか」

【男】「どうなんだい、観鈴」

【みすず】「えっと、わたしはね…」

【女】「待ってやっ!」

口を開いた彼女の言葉を大声で遮った。

【女】「三日や…三日、待ってや!」

【女】「その時、もう一回訊いてやっ…」

【女】「その時、この子がもう、うちとなんかいたないって…そう言うんやったら、ええからっ…」

【女】「もう、観鈴連れていっても、かまへんから…」

【女】「せやから…三日だけ待ってや…」

【女】「待ってぇや…」

【男】「………」

【女】「頼むわ、敬介…」

【男】「………」

風が吹けばいいのに。
そうすれば、女の頬に張りつく髪の毛も、乾くだろうに。
そう思った。

【男】「………」

【男】「…わかった」

【男】「三日だけ待つ」

【男】「その間に、こちらでできる用意はしておく」

【男】「いいね」

 

「母親」! これこそ! この物語の核心にせまる最大の謎! この3人の人間が過去の呪いを克服し、究極の家族になりうるため求める最大のパワー源!!

そして晴子は…

 

【女】「ちくしょう! うちがこの敬介の野郎にでかい面させとるのは、うちに母親の自信がまだないからやッ!! 何とかせなあかんなッ、でも努力するのは嫌いでめんどっチィーし! なんか楽(ラク)シテ母親になる方法はないもんやろかあ〜〜〜〜

 


ジョジョエア(JOJO+AIR):共通ルート7月19日

             サーティーン
夢の晴子・13

俺は最後に交わした晴子との会話を思い出す。

【往人】「しかし…おまえ、ちゃんとしつけされてんのか?」

【往人】「どう見ても、あの女は親の責任を果たしているように思えないぞ…」

【観鈴】「そうかなー」

【観鈴】「でも、ちゃんと怒られたりお仕置きされたりしてるよ」

 

そっか…

お仕置きってなんだ

 

【往人】「お仕置き、ってなんだ…?」

【観鈴】「うーん…ヘンなこと」

ヘンなこと…

 

訊いてみる

眠いので寝る

 

訊いてみたい欲求にも駆られたが、それよりも眠気のほうが強かった。

【往人】「ふわ…」

あくびがでる。

【往人】「そろそろ寝るか」

【観鈴】「うん、おやすみ」

【往人】「ああ」

観鈴を見送ってから、納屋の中に入る。
俺は横になって目を閉じる。

………。

【往人】(お仕置きってなんだったんだろうな…)

【往人】(あの母親だからな…)

【往人】(むーん…)

 

………。

……。

…。

 

――――以下、往人の夢――――

 

【観鈴】「うっがーッ、たったちゅけてェ―――――ッ」

【晴子】「さあお仕置きの時間やで、ベイベー」

 

………。

……。

…。

 

《7月20日》

 

目覚めはアンニュイ…。

【往人】(ひどく健全な夢を見ていた気がするが…)

 


ジョジョエア(JOJO+AIR):AIR編

HARUKOの世界の巻

 

【みすず】「もう一度だけがんばろうと決めたこの夏やすみ…」

【みすず】「往人さんと出会ったあの日からはじまった、夏やすみ…」

【みすず】「いろいろなことあったけど…」

【みすず】「わたし…がんばって、よかった」

【みすず】「つらかったり、苦しかったりしたけど…」

【みすず】「でも…がんばって、よかった」

【みすず】「ゴールは、幸せといっしょだったから」

【みすず】「わたしのゴールは幸せといっしょだったから」

【みすず】「ひとりきりじゃなかったから…」

【母】「そうや。観鈴はもうひとりきりやない」

【母】「ずっと、うちと一緒や」

【母】「せやから…観鈴…」

【みすず】「だから…」

【みすず】「だからね…」

【みすず】「もうゴールするね…」

【母】「あかんっ…」

【母】「これからやっ…」

【母】「これからや言うてるやろっ…」

とて…

【母】「観鈴、きたらあかんっ!」

【母】「これからや言うてるやろっ!」

…とて…

……とて。

 

ズン

 

【母】「ほう…向かってくるんか………逃げずにこのHARUKOに近づいてくるんか………」

                                                       ザ・ウィング
【母】「せっかく居候の国崎往人があんたの『痛み』の正体を、試験終了チャイム直前まで問題を解いとる受験生のような必死こいた気分で教えてくれたいうのに………」

【みすず】「近づかなきゃてめーにゴールできないんでな…………」

【母】「ほほお〜〜〜〜〜っ、では充分近づいたらええ」

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

【みすず】「ゴォルッ」

 

ガオッ!

 

観鈴は頭突きを食らわすかのように晴子に飛びこんだ!

 

ヒョイッ!

 

それを晴子は素早くかわす!
勢い余って、観鈴は頭から地面に突っ込んだ!

 

ボゴン!

 

【みすず】「グッ!」

 

ビリイッ  バ!

観鈴のパジャマの裾が破れた!

【母】「ノロいノロい。母親としてあんたがどのくらい成長したかちょいとためしてみたかった。ま。ためすほどでもなかったようやけどな」

【みすず】「ためすっていうのは、キズにもならねえよけるだけのことをいうのか?」

【みすず】「2万円もしたパジャマのズボンはやぶれたがよ」

【母】「どうして橘家というのはこう負けず嫌いなんや?」

【母】「フン。くだらん挑発にのってやって…もうちょっとだけためしたるか……」

【みすず】「おかあさん、ジョジョネタはもういいからそろそろゴールさせてよ」

【母】「なんや、あんたもノリノリやったくせに……」

【みすず】「でも、ゴールしないといつまでたっても第2部が始まらないよ」

【母】「それもそやな」

【みすず】「それじゃ、あらためて……」

 

「ゴールッ」

 

【母】「観鈴ーーーっ!」

…………

………

……

 

 

一九九五年  8月13日 神尾・観鈴 死亡

 

神尾・観鈴の人生は、忘却の彼方に消え去りました―――――。
それは世の中の人びとには、決して知られることのない、影の歴史です……。
彼女の生きた幸薄き人生の物語は、世間に聞こえることは決してありませんが…
翼人の子孫には聞こえるでしょう…
あの時、わたしの体内に宿りつつあった新しい生命にはきっと…聞こえるでしょう。

二日後神尾・晴子は武田商店前で救助された。
そして、翼人の伝説はここに、ひとまず幕を下ろします。
しかし!
それはまた、新たな冒険の時代の始まりでもあったのです…

 

第一部完

つーことで、次からは新しいページでやります。


 

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