ジョジョエア

ジョジョ+AIRのジョジョネタ・第2部

我われはこの男を知っている! いや! この人形とこのラーメンライスを知っている!


ジョジョエア(JOJO+AIR):佳乃ルート7月22日

霧島ジャック&奇人佳乃の巻

 

町外れの丘にある、無人の神社。
時間はもう夜遅い。
どう考えても、少女が一人で来るような場所ではない。

【少女】「………」

【少女】「どうしよう…」

【少女】「記憶喪失になっちゃった、あたし…」

少女の中では、かなり深刻な事態になっているようだった。

【少女】「うぬぬ。これは一大事」

【少女】「帰って、さっそくお姉ちゃんに治してもらわないと」

【往人】「すごいお姉ちゃんだな。記憶喪失が治せるのか」

【少女】「うんっ」

【少女】「あのね…」

とっておきの打ち明け話をする顔で言う。

【少女】「あたしのお姉ちゃん、お医者さんなんだよぉ」

【往人】「医者?」

【少女】「そう、すっごく腕のいいお医者さんなんだぁ」

【少女】「車からトラクターまで、なんでも治せるんだよぉ」

【往人】「それは、ある意味ものすごいな」

【少女】「そうっ! ものすごいんだよっ!」

【少女】「だからね、記憶喪失なんてへのカッパっ!」

【往人】「なるほど」

【少女】「複雑骨折も内蔵破裂もへのカッパっ!」

【往人】「そうか」

【少女】「目から光線も膝からミサイルもロケットパンチもへのカッパっ!」

【往人】「………」

少女の姉だという天才医師の姿を、俺は想像してみた。
当然、白衣はボロボロだろう。
片目に黒い眼帯をしているだろう。
悪の組織で人体改造を担当しているだろう。

【往人】「………」

【声】「おっ。やはりここにいたのか」

突然の声に、少女が振り返る。

【少女】「え…」

【少女】「あっ、お姉ちゃん」

【往人】「ん…?」

振り向くと、そこに立っていたのは…。
確か、霧島聖とかいったか。

【聖】「心配したじゃないか、なかなか帰ってこないから。この夜遅くまで遊んでる堕落した女がァーッ!!

【少女】「ひーん、お姉ちゃんのいつものジョジョネタだよぉ」

いつものこの調子なのか、この二人。
つーか悪の組織で人体改造してるほうがマシじゃないのか……?

 

ジョジョエア(JOJO+AIR):佳乃ルート7月22日

恐怖を我が物とせよの巻

 

【少女】「あのねあのね、この人ね、すっごくいい人なんだよぉ」

【少女】「あたし、この人にすっごくお世話になったんだぁ」

ぐいっと俺の腕を引っ張り、姉の前に据える。

【聖】「…お世話?」

瞳の中に、何か冷たい光を感じた。

【往人】「いや、だから、俺はなにもしてないって」

【少女】「そんなことないよぉ」

俺の言うことも聞かず、楽しそうな笑顔を振りまく。

【少女】「さっきね。あたしここでバッタリ倒れたんだって」

【少女】「気がついたら、この人にだっこしてもらってたの」

【少女】「その前のことサッパリ覚えてないけど、すっごくやさしかったんだよぉ」

【聖】「………」

【少女】「それからねー、昼間は一緒にお相撲ごっこもしたよ」

【少女】「組んずほぐれつの大熱戦だったんだよぉ」

【少女】「それからねー、すっごいものを見せてくれたんだよぉ」

【少女】「あんなの見たの、生まれて始めてだったよぉ」

【少女】「ねーポテトっ」

【ポテト】「ぴこぴこー」

【聖】「………」

少女が伝えた話には、ひとつの誤りもない。
それなのに、自分が人間の屑になったような気がしてくるのはなぜだ?

【往人】「………」

 

ごまかして逃げる

どうにか説明する

 

【往人】「じゃっ、そういうことで」

陽気な兄キを装い、しゅたっと右手を上げる。
そのままにこやかに、この場を立ち去ろうとする…

【聖】「待てい」

やはり、そうはいかなかった。

【聖】「私の妹にいかがわしい薬をかがせて、ふらちな行為に及んだな」

【聖】「組み手の稽古だと偽って、嫌がる妹にあんなことやこんなことを強要したんだな」

【聖】「そうして、やおらズボンから自慢の…」

【往人】「ちょ、ちょっと待てッ!」

あわてて姉の口を塞ぐ。
が、渾身の力ですぐに振り解かれる。

【聖】「…殺す」

【往人】「はいっ?」

【聖】「くそっ! 食い詰め者の旅芸人だと情けをかけた私がバカだった」

【聖】「貴様だけは私がたたき斬ってやるっ!」

【往人】「な、何を言ってるんだ、あんた」

【聖】「黙れっ!」

【聖】「私の大切な妹を傷物にしておいて、無事で済むと思うなっ。……喰らわしてやらねばならん! 然るべき報いをッ!!

【少女】「お、お姉ちゃん、言葉遣いが魔少年になってるよぉ」

そんな問題じゃない、つーかなんでそんなネタを知ってるんだ?

【往人】「お前のせいで完璧に勘違いしてるぞ」

【往人】「ちゃんと説明しろっ」

【聖】「ええいっ! 男のくせにごちゃごちゃと言い訳をするなっ!」

しゃきーんっ!

女医の指先で、何かが光った。
手術用らしい、鋭利なメスだった。

【往人】「マジか…こ…こいつは! こいつは! こいつはやばいッ! 残虐性! 異常性において晴子以上だあ――――ッ!!

聖がメスを振るって見せる!

 

シウウウゥ パクゥ〜

 

【往人】「な……なんだ!? 空気が……? 錯覚か! あたかも空気があの奇怪なメスに切られているように見える…凄まじい力だ」

 

ギン

 

【聖】「……………………屠所の……ブタのように…………青ざめた面にしてからおまえの鮮血のあたたかさを」

 

スパア

 

聖は自分の小指を切り落とした!

【聖】「あぁぁ味わってやる!」

 

ビュッ ビュッ

 

【聖】「ウヒヒヒヒ」

聖は、血が噴き出す自分の小指を見て、嬉しそうに笑った!
そして、持っていたメスを自分の頬に突きたてる!

 

ズン ズブズブ

 

【聖】「絶望ォ―――――――に身をよじれィ虫けらどもォオオ―――ッ!!」

【少女】「虫けらどもって、あたしも虫なの? ひどいよぉ」

【往人】「ほかに言うことないのか? この状況で」

【少女】「だって、いつものことだもん」

【往人】「さいですか……」

って言うか、こんな医者存在してていいのか!?
い、嫌過ぎるぞ……。


閑話休題:ジョジョエア・一発劇場

Dドライブ完全破損に伴い、実際のゲーム画面に頼らなくてもいい、記憶のみの一発ネタで繋ぎ。
因みに、ゲームの場面とは一切連動していませんので、二次小説みたいな感覚でお読みください。
滅多にない機会という事で、舞台裏をバラすような話をしてみました。

では、どうぞ。

 

・美凪編

 

駅前のベンチ。
座りながら、俺と遠野は暇つぶしに喋っている。
因みに、まだ名前で呼び合うほど親しくはないと思っていてくれ。

【美凪】「……国崎さん」

【往人】「ん?」

【美凪】「……実は私、今回初登場なんです」

【往人】「言われてみればそうだな」

【美凪】「…もっと、きちんとした出番が欲しかった……」

【往人】「出番がないよりはいいと思うが」

【美凪】「…がっかり」

どうやら落ち込んでいるようだ。
そりゃ、まあ、あの橘氏でさえ出番があったんだから、メインヒロインとしては立場がないよな。

【往人】「筆者は気に入っているらしいが、イマイチネタに恵まれなかったらしいぞ」

【美凪】「……そうなんですか?」

【往人】「ああ、書いてみたけどどうにも気に入らなかったり、あとはゲーム本編のおまえのキャラ自体がかなり強烈だから、結局ネタが負けてたりして、ボツになったらしいな」

【美凪】「……私、まるで飛べない鳥のよう…」

どういう比喩だ、それは。

【美凪】「国崎さん」

【往人】「ん?」

【美凪】「飛べない翼に、意味はあるのでしょうか?」

【往人】意味なんてね―――!! スカッとするから生えてるだけなんだよこのボケー!! 聖書にもあるぜ右の頬にハナクソつけられたら左の頬にも……」

 

ギャゴン

 

突如、往人の顔面に、どこからともなく現れたみちるの拳がヒットした!

【みちる】「図にのるんじゃあないッ! この独身無職住所不定がッ!」

【往人】「アンギャア――――ッ!」

みちるの拳により、鼻の穴に指を突っ込んでいた往人は、鼻を自分の指で突き破ってしまう!
そして、悶え苦しむ往人を冷たく見下ろす美凪!

                           ・  ・  ・  ・  ・  ・
【美凪】「……あなたの敗因は…たったひとつです……YUKITOさん…」

                          シンプル
【美凪】「たった一つの単純な答えです………」

【美凪】『てめーは私を怒らせた』

【みちる】「みちるはみなぎのスタンド、ザ・遠野ワールドなんだぞ!」

【往人】「う、嘘つけ…この…幽霊め……」

 

YUKITO…
ザ・ドール
『人形』
―――――――――完全敗北…死亡

 

【往人】「勝手に殺すな!」

 

・佳乃編

 

神社へ向かう道の途中、橋の上で俺と佳乃はくっちゃべっている。
珍しく、今日はポテトは居ない。

【佳乃】「あたしも第2部になって、ようやく出番が来たんだよねぇ〜」

【往人】「うむ。筆者はメインヒロイン三人とも、ほぼ同等に気に入っているらしいがな。やはり主役は観鈴ということで、優先してネタを回しているらしい」

【佳乃】「そうなのぉ? うぬぬ、贔屓だよぉ」

【往人】「弁護するわけではないが、一応それなりにネタは考えたらしいから、新しいドライブを取りつけたら出番が多くなると思うぞ」

【佳乃】「質では本家本元のジョジョカノには敵わないから、量で勝負ってワケだねぇ」

【往人】「身も蓋もないが、まあその通りだな」

【佳乃】「そういえば、あたしまだジョジョネタ使ってないね、お姉ちゃんばっかりで」

【往人】「いや、俺はお腹いっぱいだ、これでお前までジョジョネタに走ったら俺の体が持たないぞ」

【佳乃】「往人くん、意外と体が弱いんだねぇ」

【往人】「そういう問題じゃなくてだな、精神的にヤバくなると言ってるんだ」

【佳乃】「精神が乱れるのぉ? そんなんじゃ呼吸が乱れちゃうよぉ? 往人くん、訓練が足りないよぉ

【往人】「なんの訓練だ! 俺は法術使いであって、波紋戦士じゃないっ!」

【佳乃】「だめだよぉ、波紋も法術も同じだよぉ。はいこれ」

佳乃は、見た事もない妙な形のマスクを差し出した。
いや、正確に言えば、見た事はある。
あるんだが……。

【往人】「佳乃」

【佳乃】「なに?」

満面の笑みで返事をする佳乃。
それがかえって不気味だ。

【往人】「これはもしかして……あのマスクか?」

【佳乃】「あなたは一〇〇km走ってもそのマスクが平気にならなくてはならない!」

【往人】「無茶言うな!」

【佳乃】「波紋が使えたらって思ったこと、ないかなぁ?」

【往人】「…………………………………………ごめん、ある」

 

・観鈴編

 

堤防の上。
俺は観鈴と並んで座っていた。

【観鈴】「にはは、まだ出番があった、よかった」

【往人】「安心しろ、全てはただのネタだ、間違っても死ぬことはない。原作のイメージは知りつくしている――――知りつくした上でのジョジョネタよ! (原作とはちがう)

【観鈴】「わっ、往人さんが微妙にストレイツォしてる」

【往人】「とにかくだな、原作があれだけ哀しいんだ、こんなネタくらい脳天気でも文句はあるまい」

【観鈴】「原作じゃ、往人さんこれでもかってくらい無力だもんね」

【往人】「うるさい、俺だってスタンドが使えれば呪いの一つや二つ、簡単に解いてやったのに……」

【観鈴】「そういうコンセプトでできたネタなのかな、これ」

【往人】「いや、全然。本家本元のジョジョカノで死にそうなくらい笑った筆者が、及ばずながらオマージュとして捧げたものだからな」

【観鈴】「ジョジョカノは根本の設定からしっかり練ってあるよね」

【往人】「そうだ、よって筆者は、キョウジさんとの生物としての格の違いを思い知らされてるらしいぞ」

【観鈴】「行き当たりばったりだもんね、こっちは」

【往人】「仕方ないと言えば仕方ない、それが力量の差という奴だからな。しかし、ジョジョネタにかける熱い思いは同じだ、『好きな物同士をくっつける』というコンセプトは生かしているつもりだそうだ」

【観鈴】「でも、ゲーム本編の設定が生きてないと思うんだけど」

【往人】「最近になって、ようやくコツみたいな物が見えてきた程度だからな、不自然な所もままある」

【観鈴】「精進してもらわないとね」

【往人】「同感だな」

【観鈴】「それはいいとして、わたし、なんでジョジョが好きか分かる?」

【往人】「ん? 言われてみれば…」

観鈴は立ちあがると、堤防の上で両手を大きく広げた。
そうすると、空を飛んでいるような感覚にでもなるのだろうか。

【観鈴】「最近、夢を見るの。わたしが、仲間と一緒に奇妙な冒険をしている、ジョジョっぽい夢

【往人】「はい?」

意表を突いた話の内容に、俺はあんぐりと口をあけた。

【観鈴】「夢の中のわたしはね、仲間と一緒に、甦った邪悪の化身を倒すために森を抜けて、次々と襲いかかる刺客を倒しながら金剛……

【往人】「待て、観鈴」

【観鈴】「なに?」

【往人】「それは、多分、認識を、間違えて、いると、思う」

【観鈴】「夢の中のわたしはね、せい密な動きと豪快なパワーの二面性を持ってるの」

観鈴は俺を完全無視して続けた。
と言うか、それ絶対嘘だ。

【観鈴】「夢の中のわたしが奇妙な冒険をしているから、わたしはきっとジョジョが好きなんだね」

【往人】「いや、それはお前の素だと思うが……」

【観鈴】「わたしの中にもうひとりのわたしがいる、そんな気がして」

観鈴は無理矢理オチをつけるように言い切った。
セリフが微妙に違うと思うのは、俺の気のせいか?

【観鈴】「あ、往人さん、人形がポケットから落ちてるよ」

振り返ると、確かに人形が地面に落ちている。
座った時に、尻のポケットから落ちたらしい。
観鈴はひょいとそれを拾い上げた。
そして、人形を、まるで電話の受話器のように持って、いきなり叫んだ。

【観鈴】ザケてんじゃあねーぞッ!! なんでこんな時に電話してくんだあああああああッ!! バレちまってもいいのかあああ」

唖然とする俺の耳には、続けて、確かにその声が聞こえた。

【神奈】「キレるな観鈴……」

確かに、こいつの中にはもう一人のこいつがいそうだ……。


ジョジョエア・コピペ劇場:SUMMER編

※過去のネタをコピペし、弄くる事で間を持たす試み

柱の女の巻

 

母君が選んだ道は、下草が深くひどく歩きづらかった。
心なしか、さっきより足が早まっている。
…そうじゃない、俺が遅れているんだ。

【裏葉】「柳也様、顔色がすぐれないようですが…」

裏葉が耳打ちしてきたが、答える余裕もない。
一歩ごとに身体がみしみしと軋(きし)む。
気がつくと、太刀の鞘に左手を添えていた。
まったく出し抜けに、目の前がひらけた。
森の中のそこだけが、ちょっとした空き地になっていた。
行く手の斜面に沿って、大小の石が積まれていた。
かなり古い石垣だった。
月は煌々と照り輝いている。
舞台の上に引き出されたようだった。
身を隠せるようなものはなにもない。

びんっ

森のどこかで、楽器めいた弦の音が鳴った。

ぎりぎりぎりぎり…

次いで、弓を引き絞る音。
冷たい汗が、一瞬で背中に噴き出す。

【柳也】「散れっ!身を低くしろっ…」

叫びざまに抜刀し、三人の前に飛び出る。
神奈を無理矢理引き倒すようにしながら、裏葉がその場に伏せた。

ひゅん、ひゅん、ひゅん、ひゅんっ…

無数の矢が降り注いだ。
至近に飛んできた一本を払い落すので、精一杯だった。

【母】「あぐっ…」

くぐもった悲鳴を聞いた。
母君の胸元に、二本の矢が深々と突き刺さっていた。

【雑兵】「殺(と)ったりっ…」

【雑兵】「なにをっ、先の矢は我ぞ!」

 

ブルブルブル

 

突如、母君(八百比丘尼)の背中が震え始めた!

【柳也】「いかん! 何か出る! あの背中の翼のパワーある緊張! ダメージを受けているとはとても思えん!」

                               ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・
【柳也】「母君は未知の能力を隠し持っている!!」

【神奈】「柳也殿、『ぱわー』とはなんじゃ?」

【雑兵】「うっ!?」

 

バッ

 

飛び出してきた雑兵たちが、慌てて飛び退いた!

【雑兵】「? !?」

 

ズオゥオゥオゥオ

 

母君の額に血管が浮き上がり、怪しいオーラが体を包む!

【裏葉】「な…なんかヤバイ雰囲気ですわね……」

【神奈】「ええいっ、だから『ぱわー』とはなんなのだ!」

雑兵たちが動揺している!

【雑兵】(た…たしかに調子に乗ってる場合じゃあなさそうだ……俺達の手柄も報告しなきゃなんねえし…そろそろヤツにとどめを食らわしてやっつけた方がいいな…)

【母】飛びのいたのはイイ勘です…あえてあなたたちの矢に刺さったのは…穢れた自分を戒めるためでありその教訓とするため…だがそれも終わりです……

 

ズ―――

 

母君の右の翼が伸び上がる!

 

ズ―――

 

続けて左の翼も、目一杯まで伸び上がった!

 

シュタァ

 

母君が腰を大きく落とした!!

                               よ く  ず な  あ ら し
【母】「闘技! 翼砂嵐!!」

【柳也】「こ…これは、ううっ ま…まずいッ!」

【神奈】「質問に答えぬかっ! 『ぱわー』とはなんじゃっ!」

 

ギャロン

 

左翼を関節ごと右回転!

 

ギャロン

 

右翼を途中の関節ごと左回転! 
けっこう呑気してたURAHAも 翼が一瞬巨大に見えるほどの回転圧力にはビビった!!

【雑兵】「うおおおおおああああああ!!」

そのふたつの翼の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間はまさに翼人的砂嵐の小宇宙!!

 

ドォアアアン  オパウ!  ゴシアッ

 

その刹那。
音がなくなった。
虫の声一片、葉擦れの音すらない。
透明の壁をへだてた、その向こう。
風が、たけり狂っていた。
伏せていた雑兵たちが、木の葉と共に空中に吹きあげられている。
ある者は切り刻まれ、ある者は叩きつけられ…はぎ取られた武具と肉片と血が、ぐるぐると渦巻いている。
中心には母君がいた。
怒りを力と変え、荒れ狂わせるかのように。

【柳也】だ…大理石の石垣がッ!! あ…あんな不自然な形にゾウキンみてえに! い…異常だッ! この破壊りょ…」

【神奈】「だから……『ぱわー』………」

【柳也】「まだ言ってたのか、お前は」


ジョジョエア(JOJO+AIR):AIR編

病人の家へ遊びに行こうの巻

※微妙に18禁か?

 

あの日のように…できるだろうか。
今の俺に。
俺は人形を口にくわえる。
そして動き回った。精一杯に。
必死に人形を歩かせた。
最後に叶わなかった夢だ。
この手で…この人形で笑わせる。
笑ってほしい。
彼女がそれを薄目で見ていた。

【みすず】「……」

その目に映っているだろうか。この光景が。
俺は人形を歩かせ続けた。
あの日は、笑わせることができなかったけど…でも、今度こそは…今度こそは笑わせるから。
俺は人形を歩かせ続けた。

とことこ…

【みすず】「にはは…」

彼女が笑った。
できた。
やっと叶った。
それから俺はずっと、彼女の前で、歩き続けた。
慣れてくると、人形にいろんなことをさせて彼女を笑わせ続けた。
その中で俺は…彼女との暮らしをひとつずつ思い出し…そして、忘れていった。
消えてしまう。
俺が消えてしまう。
人であった時の記憶を忘れて…みすずと一緒に過ごした日々を忘れて…みすずを愛していた感情を忘れて…俺が消えてしまう。
でも…それでも、みすずのそばにいたい。
その思いだけは、ずっと忘れずにいるから…だから、この遠い日の記憶が失われても、ずっとそばに居続けるだろう。
今日までがそうだったように。
それだけで十分だった。
ただ笑う彼女のそばにいられれば…。
そのことを俺は、もう知っているのだから。
迷わず、知っているのだから。
彼女と共に生きること。
それが俺の幸せだということを。
だから、ずっとそばにいる。
俺の記憶が…遠い記憶が失われてゆく…ただ…さいごに一度だけ…このつたない体で、みすずと…ジョジョネタを…俺はぼやける意識の中で…腕をのばした。

【観鈴】「往人…さん?」

【観鈴】「あ…」

【観鈴】「往人さんっ…」

【観鈴】「…往人さん…!」

 

そうだ、今の俺なら…観鈴を笑わせることができた今の俺なら、あのセリフを言う資格があるッ!

 

【往人】「ところで観鈴『面白い大道芸』というものはどうすれば演じられるか知ってるかね?」

 

プルプル

 

観鈴は首を横に振る。

【往人】「『リアリティ』だよ! 『リアリティ』こそが芸に生命を吹き込むエネルギーであり『リアリティ』こそがエンターテイメントなのさ」

【往人】「『大道芸』とは想像や空想で演じられていると思われがちだが実は違う! 自分の見た事や体験した事感動した事を演じてこそおもしろくなるんだ!」

【観鈴】「はあ〜〜〜〜??」

往人は観鈴の両肩をガシッ! と掴む。

【往人】「たとえば鍵っ子なら普通不幸だといって号泣するだけのこの観鈴!」

【往人】「どういう風に呪いを受けていてどこが痛むのかとか空の少女との違いはどこにあるのかとか、観鈴を演じる場合大道芸人は見て知っていなくてはいけない」

【往人】「観鈴の病状というのは観鈴が夢を見て初めて進行するのだが…」

突然往人は観鈴のパジャマを剥ぎ取る!

【観鈴】「わっ! わっ! 往人さん何するの!」

【往人】「どういう風に実際の身体に影響を及ぼすのかとか……」

そう言いながら往人は観鈴の身体を背中向きにする!
観鈴の背中に指を這わせる往人!

【観鈴】「ひいいいっ!」

【往人】「痛みが出てきた時にどんな風に苦しみもがくのかとか……『リアリティ』のために知っていなくてはならないのだよ」

【観鈴】「往人さん………エッチ……」

【往人】「エッチ!? 病人の小娘がこの『国崎往人』に意見するのかねッ!」

【観鈴】「が…がお……」

ぽかっ

素に戻って観鈴を殴る往人。

【観鈴】「イタイ…なんで突然素に戻るかなぁ…」

【往人】「味もみておこう」

 

ペチャリ ペチャ

 

観鈴の背中を舐め上げる往人!

【観鈴】「わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

【晴子】「人の娘になにしとんねんッ!」

突然帰ってきた晴子が往人を怒鳴りつける!

【観鈴】「ああああ〜〜〜〜ん、あんまりだ〜〜すくいがない〜〜〜っ

晴子に泣きつく観鈴!

【晴子】「なぜなんや……? なぜなんや? 観鈴の体験を演じてもあんたは所詮稼げない芸人やないか! 町中が認めとるで!」

【往人】「この国崎往人が金やちやほやされるために大道芸をやっていると思っていたのかァ―――――ッ!!」

【晴子】「そのまんまやないか」

【往人】「うぐぅ」


 

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