ジョジョグリ
ジョジョ+グリーングリーンで送るジョジョネタ
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):若葉ルート7月30日
式神 その正体! の巻
【若葉】「……高崎先輩はばかですね。わたしのことを、何も知らないで、好きだなんて……」
【祐介】「どういうこと?」
【若葉】「何も知らないから、そんな風に、好きって言えるんですね」
【祐介】「……え?」
【若葉】「わたしだって、もし自分が、お姉さまや、他の人みたいに」
彼女は、搾り出すような、声で言った。
【若葉】「人だったら。普通の人の女の子だったら……」
【祐介】「……なんだって?」
いきなり、頭に冷水を浴びせられたように感じた。
外では、激しい台風が吹き荒れている。
【若葉】「……わたし、高崎先輩に黙っていたことがあるんです」
【祐介】「どんなこと?」
【若葉】「……言いたくなかった。高崎先輩にだけは知って欲しくなかった。でも、話さないといけないみたいですね」
若葉ちゃんは、真っ直ぐ僕を見ると、語り始めた。
【若葉】「高崎先輩、いつか、わたしに姉の能力の事を尋ねましたよね? 朽木家の長女である、姉の双葉の能力のことを……」
【祐介】「うん」
【若葉】「平安時代からの陰陽の血筋である朽木双葉の能力は、植物の声を聞けることだけではありません」
【若葉】「高崎先輩、スタンドって知ってますか?」
【祐介】「す、スタンド!? 若葉ちゃん、そこは“式神”でしょ、セリフがちが……」
【若葉】「スタンドとは、無意識の“才能”であり、戦う本能で行動させるものを言います」
【祐介】「ちょ……」
【若葉】「朽木双葉は、“才能”のある植物を見抜き、“弓と矢”を使って、そこからスタンドを引き出す能力を持っているのです」
【祐介】「……お、俺、熱があるからかな」
【若葉】「わたしと双葉さまは、ほんとは姉妹じゃありません」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
【若葉】「わたしは人ではないのです。人の形をとってはいますが……」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
【若葉】「正体をいいましょう! わたしは『式神』であって『式神』ではないものです!」
【若葉】「高崎先輩! 式神と思っていたのはサボテンの生命エネルギーが
ヴィジョン
作り出すパワーある像なのです! そばに現れ立つというところからその
ヴィジョン
像を名づけて……
ス タ ン ド
『幽波紋』!」
【祐介】「……言ってることがよく分からないや、って言うかホラ吹くな!!」
【若葉】「やれやれ、先輩はノリが悪いですね……」
スタンド名――朽木若葉 本体――トゲムラさん(サボテン) |
||
破壊力―A | スピード―C | 射程距離―B |
持続力―B | 精密動作性―E | 成長性―A |
能力―サボテンに含まれるアルカロイド毒素を散布し、幻覚を見せる。 レクイエム化すると、体内で抗生物質も作り出せる。 ……と言うかやりすぎた、ごめんなさい(汗)。 |
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):みどりルート7月25日
炎の祐介の巻
【みどり】「わたし、ばかみたいじゃない」
【祐介】「……どうして?」
【みどり】「ずっと、ずっとあなたにあこがれてたのに」
【祐介】「そんな、一ヶ月も経ってないのに大げさな……」
【みどり】「大げさじゃないもん」
【祐介】「……そんなことないって言ってるだろ!」
【みどり】「好きだよ、なんて言われてうかれちゃって。バカみたいにはしゃいじゃって。やっぱり、わたしと、祐介くんは交わっちゃいけない二本の線なのね……」
【祐介】「……だからそれってどういう意味?」
【みどり】「わたしたち、運命に見放されてるのね」
【祐介】「運命に?」
【みどり】「そうだよ、わたし、祐介くんのこと好きなのに、何をしてもうまくいかないじゃない……」
【祐介】「たまたまタイミングが悪かっただけだよ」
【みどり】「そうじゃないよ。これは、運命だよ。やっぱり、わたしたち、出会っちゃいけなかったんだわ……」
【祐介】「変な事言うなよ」
【みどり】「変じゃないよ。わたしたちは、交差しちゃいけない二本の線なんだよ。わたしが無理をしたから、ちゃんと修正されるように動いてるんだわ」
【祐介】「はあ?」
【みどり】「やっぱり、会いに来ちゃいけなかったんだわ……」
【祐介】「千歳……」
【みどり】「お願い、一人にして……」
【祐介】「わ、わかったよ……」
みどりの剣幕に押されて、僕は窓をくぐった。
……なにがなんだか、わからなかった。
『こんな人に恋してたなんて』
ただ、みどりの最後のセリフだけが、いつまでも耳の中に鳴り響いた。
(まるで…まるで気持ちを通さないガラスの壁をはられたようだ!)
【祐介】「くそぉーっ」
ゴシャア
手近にあった壁を殴りつける。
【祐介】「毒ガス! おまえのくだらない偽手紙はこれを狙っていたのなら予想以上の効果をあげたぞッ!」
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):早苗ルート7月25日
新しき友人の巻
僕はその犬小屋をよく見た。
ネームプレートのような物がついているものの、そこにはあるべきはずの名前が無い。
【祐介】「これ、名前が書いてないよ。名前付けてあげなくていいの?」
【早苗】「そうなんですけど……」
早苗ちゃんは、抱いていた子犬に顔をくっつけた。
こうしていると、犬と何か相談事をしているようにも見える。
【早苗】「高崎先輩に名前をつけてもらおうかなーって。思って。ねーっ」
【祐介】「俺に? 名前を?」
【早苗】「はいっ。ダメですか? この子も、きっと命の恩人である高崎先輩に名前を付けてもらいたいと思ってるんですよ。ねーっ」
早苗ちゃんは同意を求めたが、犬は興味なさそうにソッポを向いた。
【祐介】「そいつ、俺のこと嫌いなんじゃないのか?」
【早苗】「そ、そんな事ある訳ないじゃないですかっ。命の恩人ですよ。興味どころか、ずっと感謝の気持ちでいっぱいですって」
【祐介】「本当か、お前?」
僕は犬に近づいてみる。
【犬】「ガルルル」
【祐介】「とてもそうは思えないけど」
【早苗】「そんな事ありませんて。名前つけてくれませんか?」
【祐介】「だけど、こういうの苦手なんだよな」
【早苗】「だったら、わたしが決めちゃいますよ?」
【祐介】「うん、そうすればいいと思うけど。だってそれは俺の犬じゃなくて、早苗ちゃんの犬なんだし。」
【早苗】「んと……、それじゃあね」
【祐介】「…………」
【早苗】「…………」
【祐介】「なに?」
【早苗】「あー、やっぱり先輩決めて下さいよ」
【祐介】「いや、早苗ちゃん決めろってば」
【早苗】「だってだって……えーと、えーと」
【祐介】「うん」
【早苗】「んー……」
【祐介】「…………」
【早苗】「イギー」
【祐介】「…………」
【早苗】「あ! 今、それはダメって顔しませんでした?」
【祐介】「いや、してないけど……」
【早苗】「それじゃ、イギーで決定ってことで」
【祐介】「いや。でもちょっと待って。イギーより良い名前あるような気がするんだけどな」
【早苗】「えー? そうですか? もぉ自分で決めないくせに文句ばっかり」
【祐介】「いや、そうなんだけどさ」
【早苗】「だったらどんな名前が良いって言うんですか?」
【祐介】「そうだなぁ……。早苗ちゃんの好きな漫画の登場人物の名前とか付けてみたら?」
【早苗】「好きな……、漫画の?」
【祐介】「そうそう。そうすればいいかも」
【早苗】「ダニー」
【祐介】「え?」
【早苗】「ジョジョのダニー」
【祐介】「あ…そう、うん、よかないけどイギーよりは……」
【早苗】「他にもチビとかブチとか……」
【祐介】「あ……そう………ジョジョ…好きなんだ…早苗ちゃん…………」
と言うか、“チビ”とか“ブチ”なんてマニアックな名前知ってるなんて、かなりの重症だぞ……。
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):千種ルート7月5日
一点集中煩悩パワーの巻
僕は壁に耳をつけて、鼓膜に神経を集中した。
聞こえてくるのは虫の声、風の音。
そして自分の鼓動がうるさく感じ始める頃、壁の向こうから微かに音がした。
【女子A】「もー、私って毛深いから困る」
【女子B】「そんな事ないって、ほら、キレイな肌してるし」
【女子A】「えへへ、そうかな」
【千種】「そんなこと良いから早く入っちゃいなさい。ほら、女の子なんだからタオルで胸くらい隠しなさい」
【女子B】「はーい」
【女子A】「ねー、千種先生も早くー!」
【祐介】「うううう」
【バッチグー】「どうだ高崎君、この声が君に届くか!」
【祐介】「届いております! て、天使の歌声が自分の耳に! そして心に!」
【バッチグー】「だが忘れてはイカンよ、我々の任務はガキくさい子供のハダカじゃないっしょ!」
【祐介】「お、お、大人の裸体でありますか」
【バッチグー】「その通り! それでは、三つ数えて飛び込むぞ」
建物を壁伝いに歩くと、目の前に大きな崖が広がった。そこに一回降りてから、再度崖を登って風呂部分を目指さないと裸体には到達しない。
【祐介】「三つでありますか。それは三つ数えた瞬間に飛び降りるでありますか、それとも三つ数えた後に飛び降りるで…」
【バッチグー】「さーん!」
確認を取る間もなく、バッチグーは崖に向かってダイブした。途中のやや緩やかになった斜面に着地すると、こっちに来いと手を振る。
【祐介】「さんー!」
それに習って僕も飛び降りる。
別に飛び降りなくても、ゆっくりと歩いて降りればいいと思ったが、バッチグーのテンションに押されてしまった。
【バッチグー】「よし、よく来た。あとはこの崖を登るだけである」
【祐介】「だけって、それが一番大変だと思うんだけど」
【バッチグー】「それでは行くぞ!」
有無を言わさずバッチグーは崖を登り始めた。
上を見ると崖の頂上には石垣が積んであり、その上の方には木造の壁がそびえたっている。
モクモクと一箇所から白い湯気が浮かんでおり、そこが天国への入り口にさえ見える。
【祐介】「あそこに隙間があるのか……」
僕は崖に手をかけ、バッチグーの後を追って登った。
足場はしっかりしていたが、意外なほどに体力を使う。
しかし、バッチグーは、そんな事をまるで気にしない様に、すいすいと上へ登っていく。
【祐介】「ぐっ……、お前、よく登れるな」
【バッチグー】「裸体裸体裸体裸体裸体」
【祐介】「なるほど、火事場のアレパワーか」
僕が崖を登りきる頃には、バッチグーは既に石垣部分に取り掛かっていた。
それを越えればコンクリート部分に入り、残すは木の目隠しの隙間から覗くだけとなる。
【祐介】「お前、指から血が出てるぞ、おい」
【バッチグー】「裸体裸体裸体裸体裸体裸体裸体裸体裸体裸体裸体裸体裸体裸体裸体」
【祐介】「お、おかしくなってる。他人の心配してられる自分じゃあねーが…あいつも必死というわけか……」
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):千種ルート7月5日
黄色い女教師の巻
僕は渾身の力を込めてコンクリートを登りきった。
そして木の隙間から女風呂を覗く。
【祐介】「…………」
最初は湯気と光で何も見えなかったが、次第に何かの輪郭が見えてきた。
【祐介】「これは……」
女子が少なくなった浴場で、千種先生は湯船に入っていた。火照った身体から湯気を上らせながら、ゆっくり僕らの方に近づいてくる。
【祐介】「わああああ!」
【バッチグー】「ばかっ! 大声出すな!」
【祐介】「す、すまん」
そうだ、別に僕らの方に近づいて来たんじゃない。
木の壁寄りに来ただけだ。
僕はもう一度、目を凝らして千種先生を見る。
肌が水を吸って、信じられないくらい白くなっている。触ったら破れてしまいそうな繊細な肌。
その肌の上で、胸の膨らみだけが別の生き物のように動いている。
【千種】「はぁ……」
千種先生の身体がお湯に沈む時、妙にいやらしく音が聞こえた。
【バッチグー】「すすすす、すげええ」
【祐介】「あれほどなのか。大人ってのは、あれほどなのか……」
その時、千種先生の視線が僕の方を泳いだ気がした。
【祐介】「げっ! バレ、た、か?」
【バッチグー】「バカッ! でかい声出すな!」
しかし千種先生は大声など出さず、持っていたタオルで自分の顔を撫でただけだった。
【バッチグー】「お、脅かすなよ。声が聞こえたらバレるっしょ」
【祐介】「いや、でも確かに俺の方を見たような……」
【バッチグー】「ビビってるからそう思うだけっしょ」
隙間に顔を当てて、もう一度先生を凝視する。
しなやかな身体のラインが、僕らに魔法をかけるかの様に上下した。
【バッチグー】「……天使っしょ」
バッチグーが言った言葉に、思わず納得する。
水の衣をまとった、女神のようにさえ見える。
【バッチグー】「と、とくに胸が。つうか、主に胸が。そして胸が」
【祐介】「……うむ」
すると千種先生は、今までに無いくらい壁寄りに接近してきた。まるで僕がいるのを知っているかのように、ゆっくりと、ゆっくりと。
【祐介】「うわあ、ば、ば、バレてんじゃねえのか!?」
【バッチグー】「落ち着け、そんな訳ないっしょ! ただ近くに来てるだけっしょ!」
【祐介】「こここ、こっち来たぁあ!」
そして千種先生は、薄い木の壁一枚向こうで止まった。先生の火照った頬が上下する。
小さく、湿った呼吸の音が聞こえる。
【千種】「はぁ……」
【バッチグー】「…………」
【祐介】「…………」
僕もバッチグーも息を殺した。もし何か物音一つ立てれば、向こうに聞こえてしまう距離だ。
驚くほどすぐ近くに先生はいた。しかもハダカで。あの先生が、しかもハダカで。
【千種】「……ふぅ」
千種先生は小さく息を吐いた。
それは湯気と絡まって、僕の胸元にまで届いた。
緊張で叫びそうになったが、何とか正気を保った。
【祐介】「大丈夫だ、バレてない、バレてない」
僕は自分にさえ聞こえない程の小さな声で、己に言い聞かせるための言葉を繰り返した。
【祐介】「大丈夫だ、大丈夫だ」
その時、千種先生はゆっくりと湯気の中で動いた。
その視線の先には、確かに僕がいた。
先生の瞳には、僕が映っていたはずだ。
【祐介】「!!」
そして。
【千種】「高崎祐介! きさま! 見ているなッ!!」
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):双葉ルート7月18日
泥レス戦士の試練の巻
【総長】「おうオメエら。ちゃんと水着着てきたな」
【祐介】「言われた通り、着てきましたけど」
【双葉】「こんなとこで、どうやって決闘するのよ」
【総長】「『デュエル』の内容は、その揉め事の場に居合わせた連中が、種目を書いた紙を箱に入れて決めるんだベや」
【双葉】「種目を書いた紙を箱に入れて? どーゆーこと?」
【総長】「おう。そんで厳選なる抽選で、その箱から一枚だけ引きぬく。そこに書かれていた種目で争うんだべや」
【祐介】「いつそんなの決めたんですか」
【総長】「お前らが帰ったあと、その場に居た奴で決めた」
【祐介】「……そですか」
【総長】「で、何が書いてあったかと言うと……」
【祐介】「なんかもう、雰囲気でわかるんですけど」
【総長】「ま、ぶっちゃけて言えば、泥レスだあな」
【祐介】「はい」
【双葉】「泥レスってなによ?」
【総長】「泥んこレスリング」
【双葉】「それって、つまりあたしたちは、今からここで泥んこになって」
【総長】「プロレスるのよ」
【双葉】「マジ?」
【総長】「俺は嘘だけはつかねえ」
【双葉】「泥レスって……。ここ、どんな学校よ……」
【祐介】「あの、総長」
【総長】「おうよ」
【祐介】「どうして泥レスなんですか?」
【総長】「それを書いて箱に入れた奴に言ってくれ」
【祐介】「泥レスって書いた奴は誰ですか!」
【バッチグー】「呼んだ?」
【祐介】「バッチグー! お前か!」
【バッチグー】「うん。女が泥まみれになるとこ見たかったから」
【祐介】「俺もやるんだけど」
【バッチグー】「がんばれ。負けるな」
【祐介】「先にこいつ殴っていいすか?」
総長は僕の声をあっさり無視すると、大声をあげた。
【総長】「じゃあそろそろ始めるベえ! いいか二人とも。とにかく、この泥レスで勝った方が今後、あの時間帯のチャンネル権を自由にできる。それで問題ねえな?」
【双葉】「なんだかよくわかんないけど、まいっか」
【祐介】「いいのか!」
【双葉】「きししし。あんたを公然と殴れるしね」
【祐介】「なんだよそれ」
【双葉】「なんか、あんた見てると……、イライラするのよ」
【祐介】「こ…この女の目………養豚場のブタでもみるかのように冷たい目だ。残酷な目だ…『かわいそうだけどあしたの朝にはお肉屋さんの店先にならぶ運命なのね』ってかんじの!」
バリバリバリバリ
【祐介】「ちくしょう―――ッ!! てめ――――ッ! なに様のつもりだ! ゆるせねえ! 美人なだけになおさら怒りがこみあげるぜ!」
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):双葉ルート7月18日
鬼気! 幻の女の巻
【祐介】「ほんとにお前って」
【双葉】「なによ」
【祐介】「可愛くないのな」
【双葉】「大きなお世話よ!」
【祐介】「言っとくけど、手加減なんかしねえぞ」
【双葉】「きさまは覗き魔の高崎とかいったな。今のセリフから判断すると、相当に修行をつみ、成長したとみえる…」
【祐介】「いきなりジョジョネタかよ…」
【双葉】「いいだろう!! まずこの朽木双葉に殴られる資格はあるッ!」
【祐介】「ヌウウ、なめんじゃあねえ!」
ギラン
【祐介】「おれの精神のテンションは今! 男子校時代にもどっているッ! 女装した小林 樹に劣情を催したあの当時にだッ! 変態! 助平! そのおれがきさまを倒すぜッ」
【双葉】「……言ってて虚しくならない?」
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):早苗ルート8月7日(ED直前)
狂嵐への序曲の巻
【天神】「祐介どんは、最近メールばっかりで面白くないでごわす」
【祐介】「そうか?そんなことないけど」
【天神】「もっと、おいどんの事、かまって欲しいでごわすよ」
ピピッ ピピッ
PHSの着信が鳴る。
【祐介】「おっと、ごめんよ」
【天神】「ジェラシーでごわすー!」
画面:ツウジョウソウシン メッセージ
アシタノシュジュツ。
ドウシヨウ。
ドキドキ。
【祐介】「頑張れよ……」
【天神】「なんでごわす?」
【祐介】「なんでもないよ」
【天神】「むきー! おいどんにも見せて欲しいでごわす!」
【祐介】「プライベートだから見せられねえよ!」
そして、夜になった。
【祐介】「それじゃあ、おやすみなー」
【天神】「おやすみなさいでごわすでごわす」
ピピッ ピピッ
また、PHSが鳴った。
【祐介】「うん? 早苗ちゃんからメールかな。」
こんな遅い時間にめずらしいな、と思いながら、僕はPHSのボタンを押した。
画面:ツウジョウソウシン メッセージ
アイタイ
デス。
【祐介】「会いたい?」
僕はそのメッセージに、いつもと違う雰囲気を感じた。いつもは何も要求してこない早苗ちゃんが、会いたいなんて具体的に送ってくるなんて、初めてだ。
【祐介】「どうしたのかな」
僕は心配になって、押入れから飛び出した。
【天神】「祐介どん、どうかしたでごわすか?」
【祐介】「なんでもない、ちょっと散歩」
【天神】「わかったでごわす。ぐがぁ~」
僕はスニーカーを急いで履いて、早苗ちゃんが入院している病院へと走った。
…………。
早苗ちゃんを背負っていないせいか、病院には思ったより早く着いた。すでに面会時間は終わっているので、裏口からこっそり忍び込む。
真っ暗な廊下に、非常灯の緑色がにじんでいる。
僕は早苗ちゃんの病室を見つけると、音を立てないように中に入った。
【祐介】「さ、早苗ちゃん……」
ベッドに寝ている早苗ちゃんの全身からは、ゴムのチューブが出ていた。
まるで木が根を張るように、早苗ちゃんがベッドに住みついて見える。
【祐介】「ど、どうしたの……」
ボ デ ィ
【早苗】「肉体……来たか…」
【祐介】「ヘっ……!?」
ガボォ
、 、 、
【早苗】「先輩ィ…見てくださいよ…この早苗のなさけなき姿を! あえて…
、 、 、
あえてこの姿をあなたの前にさらします」
【祐介】「サ、サナエ」
【早苗】「なぜ、こんな姿をあえてみせるのか………。それはセンパイ、あれほど頼っていたあなたを、今、わたしは愛しているからです…。勇気を! あなたの魂を! 力(パワー)を! 愛している…それに気づいたからです…」
【早苗】「センパイ、あなたがいなかったらこの早苗の薬物の力は手に入らなかったでしょう…。しかしあなたがいたからいまだわたしの病気は治っていない! 神がいるとして運命を操作しているとしたら! わたしたちほどよく計算された関係はありませんッ!」
【早苗】「わたしたちはこの世において二人でひとり! つまり…わたしはこの世でただひとり愛する人間のボディ(肉体)を手に入れ、絢爛たる永遠を生きる! それがこのわたしの運命なのです! 苦痛は与えません! それが我が恋人への最後の礼儀!」
【祐介】「ううっ、あの眼は! まずいッ!」
バリバリ
【早苗】「我が肉体となって生きてください! センパイ―――――!!」
【祐介】「……………………………………………………早苗ちゃん、すごく元気になったんだね」
【早苗】「はい、おかげさまで♪ ちゃんと『好き』って言えたし♪」
【祐介】「そ、そうだね………ついノっちゃった俺もナニだけどさ………」
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):みどりルート7月2日
亜空の瘴気 チトセ・ミドリの巻
【祐介】「……ここが菜園。クラス別に畑があって、皆で管理してる。とれた野菜は皆で食べる。以上」
【みどり】「すごい! 畑だ! 野菜が生えてる!」
【祐介】「『野菜が生える』とはあんまり言わないなあ……。というかお前、なんでそんなにいちいちびっくりするの?」
【みどり】「えっと、あのね。わたし、都会でずっと暮らしてたから、珍しいの。野菜が畑にあるの」
【祐介】「都会に住んでたんだ。……それがまた、なんでこんな田舎くんだりまで。そういや、この辺に来たことがあるとはいってたな」
【みどり】「まあ、いろいろ事情があったのよ。えへヘ」
【祐介】「どんな事情があるのよ」
【みどり】「……確かめに来たのよ」
みどりはそういうと、僕の目を真っ直ぐにみつめた。
【祐介】「確かめに来た? 何を」
【みどり】「自分の……気持ちを」
【祐介】「は、はあ。そう真っ直ぐ言われるとね……。で、どんな気持ちを確かめに来たの?」
【みどり】「それは言えません! ヒミツです」
【祐介】「あ、そうですか」
【みどり】「なんだか、すごいどうでもいい感じなんだから。軽く流されると、わたしバカみたい。んー」
【祐介】「まあ、人には人の事情があるし」
【みどり】「あれ! なあにこれ?」
【祐介】「変わり身早いね……」
【みどり】「なんだこれー」
【祐介】「というか、あんまし人の話ちゃんと聞くタイプじゃないみたいね……」
【みどり】「ねえねえ。この袋なあに? 何がつまってるの? 何がぎゅうぎゅうになってるの?」
【祐介】「それは肥料」
【みどり】「肥料?」
【祐介】「肥料も知らんの? 最近の都会ッ子はどうなってるの。これを野菜にやると、すくすく育つんだよ」
【みどり】「へええ。野菜すくすく。……じゃあ人間もすくすく?」
……マジで言ってるのか?
【祐介】「も、もちろん」
【みどり】「へええ、なるほど。すごいのね」
【祐介】「で、そこのフェンスまでがこの学校の敷地内。そこの旧校舎の裏側に校庭がある。あの建物が体育館」
【みどり】「…………」
【祐介】「さっきは行かなかったけど、その旧校舎の隣に新校舎がある。音楽室や、美術室なんかはあっちだな」
【みどり】「…………」
【祐介】「って人が説明してるのに聞いてるのか?」
【みどり】「…………」
【祐介】「何してるの。うわっ!」
みどりは腐葉土の袋を開け、腐葉土をつまみ食いしている。
【みどり】「…………」
【祐介】「肥料食うなッ!」
【みどり】「ん……、祐介君……、これ……ゥンまああ~いっ、こっ、これはああ~~~~~っ、この味はあぁ~~~~っ」
【祐介】「え!?」
【みどり】「サッパリとした腐れ木に、腐れ葉のジューシー部分がからみつくうまさよ!! 腐れ木が腐れ葉を! 腐れ葉が腐れ木をひき立てるッ! 『ハーモニー』っつーんですかあ~~~~~~『味の調和』っつーんですかあ~っ。たとえるならサイモンとガーファンクルのデュエット! ウッチャンに対するナンチャン! 高森朝雄の原作に対するちばてつやの『あしたのジョー』! ………つう――――っ感じっスよお~~~~っ」
【祐介】「お…おい千歳、ちょいとオレにも食わしてくれよ」
【みどり】「……やっぱりノって来たわね、今『食いたい』って言ったんだから、ちゃんと食べてよ」
【祐介】「へ!?」
【みどり】「腐葉土が美味しいわけないでしょ、だましてこんなもの食べさせてくれたお返しよ、ちゃんと食べてもらうわよ」
みどりは腐葉土を握って襲いかかってきた。
そのまま押さえ付けられ、口中に腐葉土を押し込まれそうになる。
【祐介】「うわ、悪かった、助けて!」
【みどり】「しゃぶれ――――ッ、わたしの腐葉土をしゃぶりながらくたばりやがれッ! このドグサレがァ――――ッ」
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):若葉ルート7月25日
パワー
血も凍る式神力の巻
【祐介】「ねえ、若葉ちゃん聞きたいんだけど」
【若葉】「なんですか?」
【祐介】「若葉ちゃんには、自分ってものがないの?」
【若葉】「え? 自分ですか? 自分ってわたし? え?」
【祐介】「うん。見てると、思うんだよ。いっつも人のために、朽木や、クラスメイトや、バッチグーのために、なにかしてあげてる」
【若葉】「ええ、そうですけど……」
【祐介】「おかしいと思うんだよ。確かに俺だって、人になにかしてやって、喜んでもらったらうれしいよ」
【若葉】「…………」
【祐介】「でも、若葉ちゃんのは行き過ぎてる。人の言うこと、なんでも聞いちゃうじゃないか」
【若葉】「それって、おかしいことなんですか?」
【祐介】「おかしいと思う。見てると、まるで、自分がないみたいに見える」
【若葉】「それって、まずいのですか? 誰か、困るのですか?」
【祐介】「誰も困らないよ。でも、そんな風に、他人にばっかりかまってて楽しいのかって、思うんだ。若葉ちゃんだって、自分の意見とかあるだろ? 人に命令されるばっかりじゃなくて」
【若葉】「……わかりません」
【祐介】「え?」
【若葉】「どうして……、どうして高崎先輩は、そんなこと言うんですか? わたし、それで誰かに迷惑かけたのでしょうか」
【祐介】「俺が言ってるのは、そういうことじゃなくて」
【若葉】「……どうして、わたしなんかのことをそこまで気にかけてくれるんですか?」
【祐介】「それは……」
【若葉】「だって、皆、わたしのこと便利な子だって思って、いっぱい使ってくれます。それでいいじゃないですか。誰も困らないです、むしろ、喜んでくれます。でも、先輩は違います。高崎先輩だけです。わたしに、そんなこと言うの……」
【祐介】「…………」
【若葉】「わかんないのは、わたしの方です。どうして?」
僕は言葉に詰まった。
好き……、だからかな?
わからない
【祐介】「好き、だからかな」
【若葉】「好きって、わたしのことを?」
【祐介】「うん」
【若葉】「よかった、わたしも先輩のこと好きです」
【祐介】「ほんと?」
【若葉】「うん、だから、先輩もわたしのこと、好きに使ってください」
……まただ。どうして、この子はこうなんだろう。
【祐介】「きさま―――――いったい何人の命令をその性格のために聞いて来た!?」
【若葉】「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):千種ルート7月23日
女教師の人体実験の巻
千種先生は作業中の僕を気遣うわけでもなく、グラスの中のアルコールを一気に口に含んだ。
一瞬だけ大きく開かれた瞳は、その後すぐにセロハンを貼ったように色が変わった。
【祐介】「先生、もしかしてお酒って飲めませんか?」
僕が聞くと、先生は不満げに答える。
【千種】「なに言ってるのよ。私が子供だと思ってるんでしょ? お酒くらい飲めます。クリスマスだってずっとシャンパン飲んでたんだからね。甘酒とかも飲めます」
一口飲んだだけで、既に口調が怪しい。
もしかして、恐ろしく酒に弱いんじゃないだろうか。
【祐介】「ところで、どうして千種先生はこんなにプリントを作るんですか?」
コポコポと、グラスにアルコールが移動する音が聞こえる。
小さな酔っ払いが、少しずつ泥酔への階段を上る足音に聞こえなくもない。
【千種】「祐介君にはわかってないけど、プリントにはちゃんと存在する意味があるのよ。プリントにはプリントの意味があって、私には私の意味があるの。わかる?」
【祐介】「正直言ってわかりません」
【千種】「わからなくっちゃダメね。ちゃんと勉強しなさい」
【祐介】「は、はあ」
僕は千種先生が飲んでいるすぐ横で、プリントの枚数を計算しながら数えていた。
それと同時に文章におかしいところが無いかも一応チェックする。
【祐介】「あれ、ここちょっと変じゃないですか?」
【千種】「どこ?」
【祐介】「ここですよ、この肥満と痩せ過ぎの折れ線グラフなんですけどね」
【千種】「知らない」
知らないって。振り向くと、千種先生はいつの間にかボトルの三分の一ほどを開けていた。
もしかして、すごい弱いくせに、すごい飲んでいるのでは!?
【祐介】「千種先生、気のせいかも知れないけど、ものすごい飲んでませんか?」
【千種】「千種先生、実は結構飲んでるかも。祐介君も、結構飲む?」
千種先生はどこからかグラスを出して、僕に渡す。
【祐介】「ちょ、飲みませんてば。だ、大丈夫かな」
【千種】「飲んだけど大人なので大丈夫です。ほら、さっさとプリントの続きをするんですよー」
まるで子供を諭すような言い方をする。
きっと近くに風船があったら、それも膨らませて僕にプレゼントしてくれるだろう。
今日は、今までの中で一番の子供扱いだ。
【祐介】「飲みすぎて倒れないでくださいよ。安酒だから悪酔いしますよ」
【千種】「大丈夫です。しません。酔いません。酔ってませんよーだ」
あきらかに酔っ払いのトーンで否定している。
これは相当に信用できないぞ。
【千種】「祐介君は、女の子と仲良くやってるの?」
【祐介】「そうですね。ケンカとかもするけど、基本的に上手くやってると思いますよ」
【千種】「彼女、できた?」
【祐介】「はっ!? で、できませんよ」
【千種】「そうよね、祐介君て結構臆病な所があるものね」
【祐介】「そうじゃなくて、男女交際禁止でしょ?」
【千種】「あら、そうだったわね。まあ、人の感情を人が押さえつけることなんてできないけどね」
トポトポ。
透明な色をしたアルコールはボトルからグラス、グラスから千種先生へと移動していく。
【千種】「あ。祐介君、私の事を変な目で見てるでしょ?」
【祐介】「み、見てないですよ! 酔っ払ってるから、心配してるだけじゃないですか」
【千種】「そうなんだ? 怪しいなあ。私の格好見て、変なこと考えてるんじゃないの?」
【祐介】「バカなこと言わないでください!」
千種先生の瞳は、既にうっすらと濡れている。
アルコールで乾くのか、柔らかそうな舌が唇の上を移動していた。
【千種】「そうか、祐介君は彼女がいないのか」
【祐介】「そうですよ」
【千種】「じゃあ、まだね」
【祐介】「まだって、何がですか?」
【千種】「さーねー」
酔ってる、完全に酔ってる。
これは僕が止めなければ、倒れてしまうぞ。
しかし、このまま酔ってくれた方が俺としては嬉しい展開になるかも知れない。
―――― 以下、千種の心理 ――――
最近! 私はどうもおかしい! 気持ちが荒れている!
なぜか?
、 、 、 、 、 、 、 、
祐介の奴のせいだッ!
この千種の人生はこいつのおかげでくるいはじめている!
祐介のやつ私の気持ちに気がついただろうか?
それが気になる!
まさか私に惚れているのでは!?
どっちだ!?
酒! 飲まずにはいられないッ!
あのタコのような轟と同じことをしている自分に荒れているッ!
クソッ!
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):千種ルート7月22日
保健室の女教師に会え! の巻
【祐介】「じゃあ、俺も聞こえない!」
僕はそう言って、水を勢い良く蹴り上げた。
水のかたまりが先生にぶつかり、軽い音を立てる。
【千種】「こらっ! 濡れちゃうじゃないか」
【祐介】「先生が先にやったんでしょ!」
【千種】「きーこーえーないっ!」
そのお返しとばかりに、先生は両手を忙しそうに動かして僕に水をかけた。
【祐介】「ちくしょー、風邪ひいてもしらないですからねっ」
僕はさらにそのお返しに、両足で水を先生にかけた。
【千種】「あははは。祐介君、楽しい?」
【祐介】「えっ?」
【千種】「たぶん、こういうのがデートだよ」
千種先生の髪が濡れ、顔に貼り付いている。
きっとシャワーから出た後は、こんな風なんだろうな。
【千種】「きっと、こういうのが大切な時間だよ」
先生は、子供のように無邪気な笑顔で言った。
【千種】「濡れちゃったわね」
【祐介】「そうですね」
しばらく遊んだ後、先生は満足したのか川から上がってきた。悲しかったのが、一歩一歩川から出るたびに、表情がいつもの先生に戻っていくことだった。
遊んでいた時に見えていた子供っぽさは少しずつ消えていき、靴を履いた時には完全に教師の顔に戻っていた。
【千種】「どうしたの? 何か、不満?」
【祐介】「いや、なんでもないです。でも先生とデートできたから……」
【千種】「デート? デートなんかじゃないわよ」
【祐介】「へっ?」
【千種】「あれは例えでしょ? 何であなたとデートなんてするの?」
【祐介】「ナーアアアアァァァァァァァァ」
【千種】「たしかに、一緒に出かけたのは場所を知りたかったからよ。いつも学生が校外で遊んでいる場所を知るためにね」
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
【千種】「危険な場所はチェックした。水を浴びせていた時に調べておいたのよ、『川の流れ』と『水深』をね…。あなたたち学生が遊んでいる場所の………安全確保を校長に報告するために……」
【祐介】「こ、このあ…いだは…デート…するって、い…言ったくせに………」
【千種】「自分を知りなさい…。そんなオイシイ話が………あると思うの? あなたのようなナンパくんに」
【祐介】「……」
【千種】「………」
【祐介】「…………」
【千種】「……………」
【祐介】「………………」
【千種】「…………………続きは?」
【祐介】「いや、だって7ページも殴られたら体もたないし」
【千種】「じゃあ本誌バージョンにしてあげるから」
【祐介】「解決になってません。7ページが5ページになるだけじゃないすか」
【千種】「大丈夫よ、私は保健医なんだから治療くらいしてあげるから」
【祐介】「その自覚があるならまず殴るのヤメテクダサイ」
ジョジョグリ(JOJO+グリーングリーン):双葉ルート7月20日
朽木は謎だ! の巻
双葉と僕は、轟の前に立たされ、こってりと説教を受けていた。通りがかった他の先生達が興味深そうに僕達の方を覗きこむ。
【轟】「お前ら、いくつや? テレビくらい仲良く見られんかったのか」
【祐介】「今は仲良く見てます」
【轟】「今の話をしてるんやない。結局、学校の菜園を水浸しにして、泥レスとやらをカマしたんだろうが」
【祐介】「……はい」
【轟】「あの泥レスで畑はめちゃくちゃや。ワヤやでえ。どないして責任取るんや、お前ら」
【祐介】「……すいません」
【轟】「ま、今は何も植わってない場所だったからよかったようなものの、これが他の作物に影響してみい。お前らの食事にモロに影響するんや。わかっとるんか!」
【轟】「とにかく、処分はしとかんといかん。お前ら二人とも三日間の停学や」
【双葉】「ええええ?」
【祐介】「あれだけで?」
【轟】「あれだけって、あれだけのことあるか。かなりのもんや」
【轟】「朽木、お前は特に、このことを母校の方に伝えとくからな。とんでもないお嬢サンをよこしてくれたもんですね、と苦情の一つも言ったらんと気がすまんわ」
【双葉】「…………」
【轟】「というわけです。君たちは来週の月曜日、学校に来なくてええから。自室でゆっくり反省せえ。その間、漢字書き取り一万文字と、反省文の提出を忘れるなや」
【双葉】「……あの、学校に言うのは……」
【轟】「お、なんや朽木? 困ってる? こまっとるの? そりゃあ困るよなあ。お前の母校は天下に聞こえたお嬢学校やモンな。編入先で大暴れして停学になったなんて言われたら、あっちでも騒ぎになるわな。もしかして退学もありえたりして? なんちゃって?」
【双葉】「…………」
【轟】「でも、これはワシらの義務やで。預かっとる女子の皆さんの行状を母校の方に報告するというのも、ワシらの義務や。観念しとけ」
【双葉】「…………」
双葉はうつむいて黙ってしまった。そういやこいつには帰る学校があるんだよな……。
もし、向こうで問題になったらどうなるんだろう。
轟の言うとおり退学なのか……。
先生、僕は悪くないです
先生、朽木さんは悪くないです
【祐介】「あの、先生」
【轟】「なんや高崎」
【祐介】「朽木さんは悪くないです」
【双葉】「え?」
【轟】「なんやて?」
【祐介】「泥レスにしたって、やろうとそそのかしたのは僕ですから」
【轟】「貴様!」
【双葉】「高崎、あんた……」
双葉がなにか言いそうになる。
黙らせる
放っておく
僕は、双葉にすばやく目配せしをて黙らせた。
【双葉】「う……」
【祐介】「チャンネル権が欲しいなら、俺と勝負しようぜって無理やりつき合わせたんです。だから、朽木さんは悪くないです」
【轟】「ほんまか! そうなら話は変わってくるで!」
【双葉】「……な、なにいってんのあんた」
【祐介】「……黙ってろって」
【轟】「でも、この鐘ノ音では一人の過失は連帯責任や! その誘いに乗った朽木も悪い!」
【轟】「二人とも三日間の停学は変わらん!」
【双葉】「う」
【轟】「でもま、今回は朽木の母校に報告するというのは勘弁してやる」
【祐介】「話せるじゃないですか、先生!」
【轟】「ふん。今回だけやで。次やったら必ず報告するからな。ええな朽木」
【双葉】「……は、はい」
僕と双葉は並んで廊下に出た。
【祐介】「あーあ、やってらんねえ。三日間の停学かよ……」
【双葉】「…………」
【祐介】「結構退屈なんだよな。でもま、よかったな。学校に言われずにすんで」
【双葉】「ねえ」
【祐介】「ん?」
【双葉】「どうして自分のせいだなんて言うのよ」
【祐介】「…………」
【双葉】「あんたは騒ぎに巻き込まれただけじゃない。それを『俺のせいです。』なんつってさ」
【祐介】「だって、お前が困るだろ」
【双葉】「え?」
【祐介】「お前、向こうに帰って、退学になったら困っちまうだろ?」
【双葉】「でも、そんなのあんたにカンケーないじゃない」
【祐介】「カンケーない? だからこそいいんだぜ…。三日間の『停学』になったからこそ…いいんだぜ…」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
【双葉】「………!!」
【祐介】「俺のカッコつけだ…マジでカンケーねーよ。だが…喜んで『停学になる』よ」
【双葉】「な…何ッ!!」
【祐介】「三日間の『停学』になったんでお前の『退学』を回避できたんだからなあ――――――っ」
【双葉】「はいはいはい、あんたが男らしいのはよくわかったわよ」
【祐介】「……な、なんだよ。ジョジョネタ振ったのにシカトかよ」
【双葉】「……バッカみたい」
【祐介】「ん?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
【双葉】「高崎祐介、おめえ…なんか、ちょっぴりカッコイイんじゃあねーかよ………」
そう言うと、双葉は走っていってしまった。
なんだよ、しっかりジョジョネタについてきてるじゃねーか、可愛い奴だな。